年金/年金関連情報

女性と年金の複雑な関係(3ページ目)

女性の年金加入歴は、男性に比べて複雑なパターンの場合が多くみられます。女性の年金加入歴のチェックと年金額の計算のポイントと事例を使いながら解説します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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仕事を続ける女性も増えてきた年代です

女性に多い年金加入歴~Part2


●40歳代や30歳代に多く見られる事例
次に30歳代~40歳代の女性、つまり今後多くなると思われる女性の年金加入歴の事例をみていきましょう。
(事例3)
C美さんは、昭和42年9月生まれの40歳の会社員です。C美さんは大学卒業後丙社に入社し、結婚後も引き続き丙社で働いています。このまま定年まで仕事を続けるつもりです。C美さんの年金加入歴は以下のようになります。
 

C美さんの平均給与が平成15年3月以前は20万円、平成15年4月以降は賞与を含めて計算した平均給与が40万円と仮定して年金額(平成20年度額)を計算してみると、老齢厚生年金は以下のような金額となります。
 
20万円×7.5/1000×156月(13年×12月)=234,000円…(A)
40万円×5.769/1000×288月(24年×12月)=664,589円…(B)
{(A)+(B)}×1.031×0.985=912,500円(100円未満四捨五入)

また、老齢基礎年金は以下の金額です。
 
792,100円×444月(37年×12月)/480月
    =732,700円(100円未満四捨五入)

合計で、C美さんの老齢年金は1,645,200円になります。

C美さんは定年まで仕事を続けると厚生年金の加入期間が長くなるので、男性とあまり変わらない老齢年金をもらうことができるでしょう。40歳代の女性は男女雇用機会均等法がスタートした頃就職した年代なので、仕事を続ける女性が増えてきた年代です。仕事を続けることによって、「自分の年金」をしっかり確保できる人が増えてくるでしょう。

(事例4)
D奈さんは、昭和48年4月生まれの35歳の主婦です。現在はパートで仕事をしていますが、夫の扶養の範囲で働いています。結婚後は共稼ぎをしていましたが、30歳で出産をきっかけに退職しました。D奈さんの年金加入歴は以下の通りです。
 

D奈さんが厚生年金に加入していた期間の平均給与を18万円と仮定して、年金額(平成20年度額)を計算してみると、老齢厚生年金は以下のようになります。
 
18万円×7.5/1000×84月(7年×12月)×1.031×0.985=115,200円

また、D奈さんは20歳から60歳までの40年間、年金制度に加入しているので、老齢基礎年金は満額の792,100円が支給されます。合計でD奈さんの老齢年金は907,300円となります。

D奈さんの年代は、第3号被保険者期間がA子さんの年代より長くなるので、扶養に入っていてもある程度自分の年金を確保することができます。ただし、昭和41年4月2日以降に生まれた人は、振替加算が加算されません。

C美さんやD奈さんの年代は、「夫婦でもらう年金はいくらなのか」というより「自分の年金はいくらなのか」と考える人が増えています。現在の年金制度が夫婦単位から個人単位へと考え方が変わってきているので、自然なことかもしれません。

年金の加入期間が長くなる反面、平成16年の年金法改正で今後は年金の支給水準が現役世代の所得の50%程度に抑えられる見通しなので、現在の受給者世代の支給水準には届かないことが予想されます。その分の自助努力が必要な年代です。

これからどうなる?女性と年金

女性によく見られる年金加入歴を年代別に事例で見比べてきました。現在の20歳代~30歳代の女性は、正社員としての経験だけでなく、派遣社員や契約社員として働き続ける若い女性も多い年代です。「まだ先のこと…」と思わずに、厚生年金に加入しているのかも含めて早めに確認してみましょう。

これからますます女性のライフスタイルは多様化し、仕事を続ける女性も増えています。経済的に自立した老後を目指すなら、働き方が変わってもきちんと年金制度に加入して将来の年金を確保することが必要です。さらに、年金の支給水準が現在の高齢者世代より低くなることも年金改正で決まっていることなので、自助努力も必要でしょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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