年金/年金関連情報

女性と年金の複雑な関係(2ページ目)

女性の年金加入歴は、男性に比べて複雑なパターンの場合が多くみられます。女性の年金加入歴のチェックと年金額の計算のポイントと事例を使いながら解説します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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専業主婦として過ごした期間の長い年代です

女性に多い年金加入歴~Part1

最初にも述べたとおり、女性は年金制度への加入履歴が男性よりも複雑になりがちです。このため、自分の年金はどういう内訳で支給されているのかわかりにくいものになっています。そこで、年代別に多く見られる年金加入歴の事例をみていきましょう。

●60歳代や50歳代に多く見られる事例
(事例1)
専業主婦のA子さんは、昭和18年4月生まれの65歳です。A子さんは、結婚前に会社勤めをしていましたが、23歳の4月に結婚して退職しました。退職時に厚生年金を脱退し、脱退手当金を受け取っています。それ以降は、ずっと専業主婦です。A子さんの夫は2歳年上の会社員で、厚生年金に加入していました。A子さんの年金加入歴をまとめてみると、以下のようになります。
 

A子さんは、結婚前の厚生年金加入期間と結婚後の昭和61年3月までの未加入期間の24年間がカラ期間となります。その後、第3号被保険者期間が17年間あるので、A子さんはカラ期間と年金加入期間を合算して受給資格期間を満たしています。

A子さんは今年4月に65歳になったので、老齢基礎年金をもらっています。A子さんの老齢基礎年金の年金額は、以下の通りです。
 
792,100円×204月(17年×12月)/480月
   =336,600円(100円未満四捨五入)

A子さんの夫は厚生年金に加入していたので、A子さんは振替加算をもらうことができます。生年月日よりA子さんの振替加算の金額は124,700円なので、A子さんに支給される老齢年金は、461,300円です。

A子さんのように、結婚前の厚生年金の加入期間を脱退手当金で精算し、結婚後は専業主婦で国民年金に未加入だった人は、50歳代以上に多くみられます。受給資格期間はカラ期間があるので満たすことができますが、年金額は昭和61年4月以降の第3号被保険者期間のみ(A子さんの場合は17年)で計算するので、年金額が低めです。

(事例2)
夫婦でカフェを経営するB江さんは、昭和30年4月生まれの53歳です。25歳の4月に結婚してから夫婦で自営業を続けていますが、結婚前は2年間会社員でした。会社員時代には厚生年金に加入し、結婚してからは夫婦で国民年金に加入しています。B江さんは60歳まで国民年金に加入するつもりなので、年金加入歴は以下のようになります。
 

B江さんは、国民年金と厚生年金の加入期間で、すでに受給資格期間を満たしています。B江さんは昭和30年4月生まれなので60歳からは報酬比例の老齢厚生年金、65歳からは老齢厚生年金と老齢基礎年金をもらうことができます(生年月日と老齢厚生年金の支給については「年金はいったい、いつからもらえるの?」をご覧下さい)。厚生年金に加入していた頃の平均給与を15万円と仮定すると、60歳からもらえる老齢厚生年金は、以下の通りです。
※年金額の計算に使用する平均給与は、厚生年金加入当時の給与額ではなく、現在価値に換算した給与額を使用します。給与額を現在価値に換算することを「再評価」といいますが、再評価についての詳細は「とても重要!保険料納付記録」をご覧ください。
 
15万円×7.5/1000×24月×1.031×0.985
   =27,400円(100円未満四捨五入)

65歳からは、上記の老齢厚生年金に加えて、老齢基礎年金をもらうことができます。60歳まで国民年金に加入したと仮定すると、老齢基礎年金の金額は以下のようになります。
 
792,100円×444月{(2年+35年)×12月}/480月
   =732,700円(100円未満四捨五入)

65歳からの老齢年金は合計で760,100円になります。

B江さんのような自営業者の場合は、国民年金のみに加入しているので、支給されるのは老齢基礎年金だけです。したがって、夫婦でもらえる年金額が会社員夫婦に比べて低めです。B江さんのように結婚前、厚生年金に加入していても加入期間が短いので、年金額は少額になります。

50歳代以上の女性は、A子さんやB江さんのように、結婚後は厚生年金に加入していなかった人が多く、年金額が低い傾向にあります。ただし、A子さんのように夫が会社員として定年まで働く人も多いので、夫婦でもらう年金は厚生労働省のモデルケースで1ヵ月約23万円(平成20年度額)です。夫婦単位で現役世代の収入の約6割に当たる年金を受け取っています。

B江さんのように自営業者になってからずっと国民年金に加入している人は受給資格期間を満たすことができるので老齢基礎年金をもらうことができますが、保険料の滞納で受給資格期間を満たせない人もみられます。保険料をきちんと納めているか早めに確認し、60歳までに受給資格を満たせない人は、60歳以降任意加入するなど老齢年金をもらうための対策が必要です。

40歳代と30歳代の事例は次ページで
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