事業資金を優先しがちなフリーランス。老後資金の準備はどうする? |
生涯現役!?フリーランスの老後
定年退職は、会社員にとって大きなターニングポイントとなるかもしれません。定年退職をきっかけに、仕事中心の生活から趣味や仕事以外の目標に向かって新たなスタートを切る人も多いでしょう。一方、フリーランスには定年退職がないので、「生涯現役」を目標に仕事を続けることも可能です。「老後の収入も仕事を続ければ確保できる」と考えて、特に老後資金の必要性を感じなかったり、老後資金よりも事業の運転資金を優先させている人が多いかもしれません。フリーランスにとっては、つい後回しになりがちな老後資金対策です。今回は、フリーランスの老後が安全かどうか、また、フリーランスにとって必要な老後資金はどのくらいなのかについて、考えていきましょう。
<INDEX>
・フリーランスの老齢年金(1ページ)
・フリーランス夫婦のキャッシュフロー表(2ページ)
・キャッシュフロー表の見直し(3ページ)
フリーランスの老齢年金
フリーランスは第1号被保険者として国民年金に加入するので、将来受け取る老齢年金は、1階部分の老齢基礎年金のみです。フリーランスとして仕事を始める前に会社員の経験がある場合は、厚生年金の加入期間があるので老齢厚生年金が上乗せされますが、定年退職まで会社勤めをした人に比べると、加入期間が短いため支給額は低めになります。フリーランスや自営業者の夫婦が40年間国民年金に加入して保険料を納めた場合、夫婦で受け取る老齢基礎年金は1,584,200円(=792,100円×2人、平成20年度額)なので、1ヵ月あたり約13万円となります。
一方、厚生労働省の試算によると、モデルケースの会社員夫婦(夫が40年間会社員として勤務、妻はその期間全て専業主婦)が受け取る老齢厚生年金と老齢基礎年金は、合計で約23万円と発表されています。
フリーランス夫婦の年金は、会社員夫婦に比べて1ヵ月約10万円少ない金額です。老齢年金だけでなく、遺族年金を比較しても、遺族厚生年金は子どものいない妻や夫が遺族となった場合でも支給されることがありますが、遺族基礎年金は原則、高校卒業前の子どもがいる妻、または高校卒業前の子どもが遺族となった場合しか支給されません。
このように、公的な保障を比較すると、フリーランス夫婦は会社員夫婦に比べて、保障の内容が薄いものになってしまいます。ただし、フリーランスや自営業の場合は会社員と違って定年退職がないので、引き続き事業収入を得ることは可能です。
そこで、次に公的年金だけでなく、事業収入があるフリーランス夫婦の老後の収入と支出はどのように推移していくのか、キャッシュフロー表を作って検証してみましょう。
老後の生活をキャッシュフロー表で予想(次ページへ)