家計の把握が借金整理の第一歩。 |
奥さんの言葉がターニングポイントに
中村さんはそれでもあきらめずに、売上げを伸ばそうと頑張っていました。お店の経費も見直したりもしました。しかし、返済は待ってはくれません。いつしか本来の仕事を忘れ、四六時中、金策だけに頭が行くようになってしまいました。何を食べてもおいしくない、子供が笑っていても何も感じられない、そんな精神状態だったようです。しかし、そんな中村さんをいつもそばで見守っていた奥さんが、夫にこう切り出しました。
「もう十分頑張ったよ。お店を維持したい気持ちも分かるけど、このままでは誰のためにもならないでしょ。計画性の甘さを反省してやり直しましょう。そのためには私も外で働いて協力するから」
私はこれをその場で聞いていたので、本当に胸が痛くなる思いでした。同時に再起して欲しいと強く願いました。
迷走して膨らませた借金は手ごわかった
借金を整理することを決めた中村さんは、もう二度と失敗しないようにと、私に報告するだけではなく自分でも家計を把握するよう努めていました。そして、司法書士の協力ももらい解決法の模索をしはじめました。「何とか少しずつでも返済したい!」という本人の希望があり、任意整理や個人再生での解決の可能性も探りました。しかし、迷走して膨らましてしまった借金は手ごわく、金利の引き直しをして債務が圧縮されたとしても、今の中村さんにはとても返済できるようなものではありませんでした。そこを中村さんは司法書士と十分話し合い検討した結果、自己破産をすることにしました。