年金/年金アーカイブ

1年間の年金記録、年金の受取り額何円分?(3ページ目)

国会でも問題になっている「消えた年金記録」。これらの記録は受給する年金額に直結しているだけに、切実な問題となっています。では、この年金記録はどれくらいの受給額になるのでしょうか?

福一 由紀

執筆者:福一 由紀

ファイナンシャルプランナー / 仕事・給与ガイド

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厚生年金の記録もれ。国民年金より影響大

最後に厚生年金のほうを見ておきましょう。 厚生年金の老齢年金は、65歳以上になると国民年金からの支給と、厚生年金からの支給と2つの年金から支給されることになります。国民年金部分の計算は上記と同様で、年金支払い期間に比例して受給額が決まっていきます。

それに対して、厚生年金部分は「報酬比例年金」とも呼ばれ、現役時代の報酬にも比例していきます。計算は、報酬額(平均報酬月額)とその被保険者期間の両方に比例して計算されるます。国民年金の計算と違って、現役時代のお給料も関わってくるということですね。

この厚生年金の被保険者であった記録が抜けているということもあります。この記録がないと、国民年金部分の受給はもちろん、加えて厚生年金からの受給もなくなるわけです。国民年金の場合より、更に年金受給額に影響がでてきます。


厚生年金1年間分の年金記録は、年金受給 年間52,000円に!

年金
厚生年金は、夫婦の老後資金となるもの。2人の給付記録をしっかりとチェックをしたい
厚生年金の報酬比例部分の計算は非常に複雑になっており、生年月日やその時々の報酬によって変わってきます。ですので、一概には計算ができませんが、厚生労働省から発表されている「夫婦2人の標準的な年金額」の金額から、厚生年金の記録の価値を割り出してみたいと思います。

厚生労働省は、平成19年度の夫婦2人の基礎年金(国民年金)を含む標準的な年金額は、月額 232,592円と発表しています。年間に直すと 約279万円。国民年金のみの夫婦だと約158万円なので、厚生年金の上乗せが121万円もあるということがわかります。

このモデルケースの場合、夫が平均的収入(平均標準報酬36.0万円)で40年間就業し、妻がその期間全て専業主婦であった世帯を想定しています。もし、この夫の年金記録がなくなった場合はどのような影響が出るのでしょうか? 平均標準報酬36.0万円として1年分の記録がどのような年金額になるのでしょうか?

厚生年金の比例報酬の部分の計算式は複雑になりますが、生年月日が昭和21年4月2日、平均標準報酬36.0万円、平成15年3月以前の記録とすると、ざっと被保険者1か月分の記録で、年間の年金額2,740円程度(平成19年度)。1年間分の記録となると、32,800円程度になります。

厚生年金の記録がないということは、もちろん国民年金部分も受給できないということですから、1か月の記録は、国民年金部分の1,650円と、厚生年金部分の2,740円のあわせて4,390円が、年金の年間受給額に影響してくるということです。もし、1年分の記録がなくなっていれば、もらえなくなる年金の年額は、52,680円。これが20年間続くとすると105万円にもなります。1年分の厚生年金記録でこんなに変わるとは驚きですね(あくまでも、モデルケースでの計算です。詳しくは、社会保険事務所などでお尋ねください)。

いかがでしたか? 消えた年金記録も、このように具体的に将来の年金額に計算してみると、相当なものになるとわかります。自分自身の年金記録も、1か月でももれていなかをしっかりチェックしたいですね!


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