令和2年度の労働者1人当たりの平均月収は31万8081円
厚生労働省が「令和2年度分毎月勤労統計調査」を発表しました。令和2年度の労働者1人当たりの平均月収は31万8081円で、前年度比1.5%減となりました。平成30年度は前年度比0.9%増、令和元年度 0.0%増と、微増から前年同となり、令和2年度に減少と転じましたでは、就業形態や業種によって平均月収はどれくらい違うのでしょうか? 今回は、労働者の平均月収についてみてみましょう。
正社員は平均月収41.6万円、パートは9.9万円
令和2年度分毎月勤労統計調査(従業員5人以上の事業所対象)より、就業形態別の給与額。「きまって支給する給与」には所定内給与(時間あたり給与)と所定外給与(時間外手当等)が含まれる。「特別に支払われた給与」はボーナス等を1カ月あたりに換算したもの(出典:厚生労働省)
とはいっても、労働時間がそもそも違っています。一般労働者の月間労働時間は159.8時間(所定内147.6時間、所定外12.2時間)。パートタイム労働者の労働時間は78.6時間(所定内76.6時間、所定外2.0時間)。労働時間は、パートタイム労働者は約半分ですが、給与は4倍以上の差があるわけですから、やはり、正社員などの一般労働者の給与事情が良いといえます。
パート給与:電気・ガス、複合サービス、金融・保険が好調
上の表はパート労働者の給与額と調査対象が100万人をこえる産業の産業別給与額です。給与金額でみると、一番高額なのが電気・ガスの17万309円。続いて、複合サービス15万4965円、金融・保険業14万6593円となっています。これらの産業では前年度より増えています。一方、飲食サービスは前年度比7.8%減、生活関連サービス2.1%減と業種によって事情は変わっています。
パート労働者に関しては、労働時間が給与に直結します。上の表には載っていませんが、月間総労働時間は、電気・ガス104.5時間、複合サービス114.1時間、金融・保険業102.2時間。一方、飲食サービスは62.2時間(前年度比13.2%減)、生活関連サービス68.5時間(前年度比14.9%減)と前年度より給料が減っている業種は時間数も減少しています。コロナ禍での飲食をはじめとするサービス業が営業時間を大幅に短縮している影響がでているようです。
パート労働者の産業別給与を見てきましたが、正社員の一般労働者の産業別事情はどのようなものでしょうか?
平均月収:トップ3は電気・ガス、金融・保険、学術研究
上の表は、常用労働者(期間を定めずに雇われている者、1カ月以上の期間を定めて雇われている者)のうち、短時間勤務でない一般労働者(正社員など)の産業別給与額です。一番高額だったのが、電気・ガスの59万4032円。続いて、金融・保険52万2479円、学術研究51万1689円、教育・学習支援 51万863円、情報通信51万332円。50万円を超えるのはこの5業種となっています。
このうち、前年度より伸びているのは電気・ガスで1.5%増。その他は、学術研究の2.3%減をはじめ4業種とも減らしています。
サービス業は30万円前後で低賃金業種に
給与額が低かったのは、いずれもサービス業。飲食サービス27万1129円、生活関連サービス31万2269円、その他サービス32万3888円と、30万円前後となっています。電気・ガスと比べると約半分。同じ常用労働者での賃金差としては大きいものといえるでしょう。電気・ガス、不動産好調、飲食サービスボーナス3割減
最後に、前年の給与を比べてみましょう。前年より一番増えたのが、電気・ガスで前年度比1.5%増。特にボーナスが4.7%増と大きく増やしているのがわかります。続いて、不動産・物品賃貸業が1.2%増。ボーナスが前年度よりマイナスでしたが、決まって支給する給与が1.8%増と他の業種と比べ大きく伸びました。一番下げ率が大きかったのは、前年度比9.0%減の飲食サービス業。特にボーナスが30.7%減と大きく減らしています。他にもボーナスが前年度より大きく減ったのが、生活関連サービス22.1%減、輸送業・郵便業18.8%減と大幅減となっています。多くの業種で前年度より給与もボーナスも減少と転じていますが、特にこの3業種は下げが大きくなっています。
これから就職や転職を考えている人は、これらの表を参考に、産業別の給与や前年度との変化などを比べておくといいかもしれません。給与額だけでなく、増減の比率なども要チェックですよ。
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