家族手当、住宅手当など各種手当の平均相場はいくら?
給与明細を見ると、基本給の他に手当が支給されていることがあります。 今回は、厚生労働省が資本金5億円以上、労働者1000人以上の企業を対象に行った「平成29年賃金事情等総合調査(賃金事情調査)」(2018年4月発表)をもとに、各種手当の平均相場についてご紹介しましょう。賃金の1割近くを占める手当
下の表は、所定内賃金(毎月決まって支給される賃金)の構成比です。いわゆるお給料と呼ばれる「基本給」の他に、「奨励給」、「手当」があります。基本給は年齢や勤続年数などで決まる「年齢・勤続給」と、仕事の内容などで決められる「職務・能力給」とにわけられます。また、業績などで決められる「業績・成果給」もあります。その中でも、職務・能力給が給与全体の33%ほどを占めており、仕事の内容が給与に大きく影響を与えています。
ここで注目したいのが、「手当」が意外と多いところ。全体の約9%、1割弱を占めています。手当はおまけのようだと思っていてはいけません。
※上の表は、所定内賃金の集計です。他に、所定外労働時間の労働に対して支給される所定外賃金もあります。時間外手当や休日出勤手当などは所定外賃金になりますので、上の表には含まれていません。
手当には職務手当と生活関連手当が
手当の中には、職務関連手当と生活関連手当があります。 職務関連手当には、役付手当や特殊勤務手当、技能手当などがあります。仕事の内容で決まる手当ですね。勤務状況や昇格などで金額が決まります。生活関連手当には、家族手当、通勤手当、住宅手当、地域手当、出向手当などがあります。これは、生活をサポートするもので、扶養家族の有無、住んでいるところなどで決まる手当です。仕事内容とは関係なく、長く受け取ることができる手当です。この金額が多いと、受け取る賃金も安定的に多くなるといえるでしょう。
手当と一言でいっても色々なものがあることがわかりました。
生活関連手当は平均約2万円の支給
<生活関連手当の支給状況> 1カ月あたりに支給される所定内賃金の平均金額とそのうちの生活関連手当の割合とその平均金額。生活関連手当の平均金額は、割合より筆者が計算 (出典:厚生労働省「平成29年賃金事情等総合調査(賃金事情調査)」より筆者加筆)
上の表は、所定内賃金を100とした時の生活関連手当の支給割合とそこから計算できる平均支給金額です。生活関連手当の平均支給金額は約2万円。そのうち、家族手当9800円、通勤手当4000円、住宅手当2200円となっています。
資格手当 3割の会社で支給。平均1万円
資格などを取得していると支給される、技能手当、技術(資格)手当があります。これらは、資格を取得するとずっと支給されるわけですから(手当制度がある限り)、受給できるとなるとその影響は大きなものとなります。この手当を採用している企業は34.3%。3分の1の企業に資格手当があるようです。支給額が定額制の場合、支給平均額は「情報処理系」9900円、「事務・法律系」1万1900円、「技能労働系」 6900円、「その他の資格」は1万6700円。だいたいの平均は、1万円といったところでしょうか。
支給額に幅がある場合の最高額は、「情報処理系」1万3500円、「事務・法律系」1万6100円、「技能労働系」1万900円、「その他の資格」4万3500円でした。
職務関連手当となるこれらの技能手当、技術(資格)手当。生活関連手当以外で、定額の金額が給料に上乗せされるのはありがたいことです。
手当のみ重視の会社は注意?
賃金として支払われる手当についてみてきました。手当は、会社によって支給内容がかなり変わるためしっかりチェックをしておきたいですね。ただ注意をしておきたいのが、手当ばかり重視され基本給がおさえられている場合です。基本給と手当とあわせて支払われるために、多少基本給が少なくても、手当の支給が多くて手取り額も問題ないという場合があります。これは、一見安全に見えて危険です。
退職金などは基本給をもとに計算されることが多いものです。 同じ基本給なら、手当が厚いほうがいいに決まっています。が、基本給が少なくて手当が充実しているというところは注意したほうがいいですね。いずれにしても、就職や転職を考える時、基本給とともに支給される手当をチェックしておけば安心です。