医療保険の告知書には何を書く?
告知書って何を告知する書類なの?
告知書は保険会社が医療保険契約を引き受けるかどうかの重要な判断材料として使うものです。満15歳以上の場合は必ず被保険者自身が事実を記入し、保険会社へ健康状態を伝える必要があります。告知書の内容が事実と異なると、保険契約を解除させられたり給付金を受取れなかったりする可能性があります。
では、それほど大事な告知書とは一体どのような内容なのか、告知書の具体的内容や書き方をみていきましょう。ここでは医療保険の一般的な告知書の内容を紹介します。記入の際の参考として、また後々に不快な思いやトラブルを起こさないための事前策として活用して下さい。
※保険契約引受の可否は、告知書の内容だけで判断されるわけではありません。保険募集人(保険会社の営業担当者等)が被保険者の外見上などに不審な点がないか、危険な趣味をもっていないか等の確認もしています。
名前や生年月日のほか、職業や勤務先名も記入する
最初に、告知書を記入する「日付」、被保険者自身の「名前」「フリガナ」「生年月日」「性別」を書きます。もし書き間違えてしまった場合は、間違えた箇所に二重線を引き、訂正印を押して、すぐ上などの空白スペースに正しく書き直します。訂正の印は、申込書の被保険者印と同一になります。訂正の仕方は、修正液、消しゴム、上書きや無理やりの書き足しでは駄目なので注意が必要です。次に、記入日現在の職業について「勤務先名」「業種」「仕事の具体的内容」などを書きます。業種は不動産業とか公務員などと書きます。仕事の具体的な内容は、不動産賃貸の営業や小学校教員などと書きます。適切な言葉が浮かばない時は、保険会社の人がイメージできるような言葉を使うとよいです。
主婦(主夫)の場合は主婦(主夫)と、学生の場合は学生(保険会社によっては学校名や学年も必要)と書きます。無職の場合は無職と書きますが、もし年金で生活している状態であれば、年金生活者と書くことも可能です。
そして、「身長」「体重」を書きます。身長と体重は毎日測定していないでしょうから、おおよその数値でも構いません。最近受けた健康診断での数値などを記入してもよいでしょう。女性の場合、体重を書くことに抵抗のある人もいますが、必ず正直に書いて下さい。身長と体重を記入する必要のない告知書もあります。
健康状態に関する告知項目はいろいろとある
過去5年以内に何があったかな?
質問に対しては、告知書の「はい」か「いいえ」にチェック(○)していきます。「はい」に該当する場合は、告知書の別欄に詳細を記入する必要があります。心配性な人は何でも記入したがりますが、問われていないことは答える必要がありません。質問を素直に読み、問われていることについてのみ事実を記入していって下さい。
最近3カ月以内の診察・検査・治療・投薬
■質問例「最近3カ月以内に医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがありますか?」
医師に診てもらった事実があれば、病気やケガでなくても告知が必要です。薬の処方のみの場合も告知が必要です。
ただ、医師への受診がなく医師に処方されていない市販の薬を服用している場合や、健康増進のためのビタミン剤を服用している場合、風邪やインフルエンザで既に完治している場合は告知不要としている保険会社もあります。
歯の治療は、単に虫歯の治療であれば告知不要で、インプラント治療や歯周病、親知らずの治療は告知を必要とする保険会社もあります。記入の判断が難しい時は、記入する前に保険会社や営業担当者に確認するようにして下さい。質問への回答が「はい」の場合は、別欄に詳細を記入する必要があります。
過去5年以内の手術・入院の有無
■質問例「過去5年以内に病気やケガで手術を受けたことがありますか?」
「過去5年以内に病気やケガで7日以上の入院をしたことがありますか?」
「過去5年以内に病気(保険会社が特定している告知書記載の病気でがんや糖尿病、肝硬変等)で医師による診察・検査・治療・投薬を受けたことがありますか?」
7日分の薬をもらった場合は、7日以上にわたり投薬に含まれるので告知が必要です。6年以上前のことは聞かれていないので思い出せなくても大丈夫ですが、5年前までのことは告知する必要があります。思い出せないからと言って告知しないと、いざという時に給付金を受け取れない可能性があるので注意が必要です。保管している書類や手帳等を頼りに思い出してみて下さい。
なお、正常な分娩は病気やケガではないので記入する必要はありません。質問への回答が「はい」の場合は、別欄に詳細を記入する必要があります。
過去2年以内の健康診断・人間ドックでの指摘の有無
■質問例「過去2年以内に健康診断・人間ドックを受けて、異常(要再検査、要精密検査、要治療、要経過観察を含む)を指摘されたことがありますか?」
保険会社によっては指摘の部位(臓器)を限定(例えば心臓、肺、胃腸、肝臓、腎臓、すい臓、胆のう、子宮、乳房、脳、甲状腺、前立腺)している場合もあります。
勤め先で実施する健康診断や、自発的に受けたがん検診やPET検診等も、問われいてる健康診断に含まれます。
健康診断の結果が「異常なし」なら全く問題ありませんが、何らかの数値が標準値を外れたことで「要経過観察」になっている人はかなりいます。この場合は別欄に詳細な告知をする必要があります。
身体の障害の有無
■質問例「視力、聴力、言語、そしゃく機能に障害がありますか?手、足、指について欠損や機能障害がありますか?背骨に変形や障害がありますか?」
激しいスポーツで背骨が少し曲がっているような場合は、忘れずに「はい」と答えて、別欄に詳細を記入して下さい。
女性特有の告知項目も
■質問例「過去5年以内に、妊娠・分娩に伴う異常で、入院したり手術を受けたりしたことがありますか(帝王切開も含む)?現在妊娠していますか?」
妊娠している場合の医療保険への加入については、保険会社によって対応が異なります。詳しくは保険会社や営業担当者へ確認して下さい。
健康状態の詳細記入欄
今までの質問に対して「はい」と答えた場合、追加でその内容を別欄に詳しく書く必要があります。記入が必要なのは、「病気・ケガの名前や部位」「診査・検査・治療・投薬の期間」「医療機関名」「入院の有無や期間」「手術の有無や手術名」「現在の状況」などについてです。投薬ありの場合は、薬剤名を記入する欄まであります。健康診断・人間ドックでの指摘については、異常を指摘された部位や数値、検査の所見等を記入します。なお、質問に対してひとつも「はい」がない場合は、詳細の欄を書く必要はありません。
項目によっては覚えていない部分もあるはずです。そのような時は、安易に空欄のままにしたり不確実な内容を書いたりせず、まずは昔のレシートや薬の説明書などを探してみて下さい。どうしても内容がわからない時は、記入前に保険会社や営業担当者へ相談してみるとよいでしょう。
過去の喫煙やがんに関する質問があることも
■質問例「過去1年以内に喫煙をしたことがありますか?」
「今までにがん(癌、白血病、肉腫、悪性リンパ腫などの悪性新生物、上皮内癌)にかかったことがありますか?」
保険会社によっては、過去の喫煙やがんについて質問される場合も。がんの質問で答えが「はい」の場合も、別欄に詳細を告知をする必要があります。
告知書を記入する上での注意点
告知書は必ず自分で書く
告知書を提出した結果、さらに追加で告知を求められたり、健康診断・人間ドックの結果表の提出を求められたりする場合もあります。医療保険契約の引き受けについては、保険会社から「1. 無条件で引き受け」「2. 引き受け不可」「3. 特別条件付き(特定の部位を不担保など)」のいずれかで回答がきます。
告知書の記入はとても大事な作業です。記入間違いや記入漏れしないためにも、営業担当者の目の前で、アドバイスを受けながら記入することをおすすめします。
※告知書の内容は保険会社によって異なり、一般的な医療保険と引受け基準緩和型の医療保険でも告知書の内容は異なります。がん保険は医療保険に比べて告知項目が少ない傾向にあり、医療保険加入でも医師による診査が必要な場合もあります。詳しくは保険会社や営業担当者に確認して下さい。
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