テレビ/テレビの基礎知識

リフレッシュレートとは?テレビ購入時に確認は必要か

リフレッシュレートとは何かご存じですか。テレビのカタログを眺めていると、「120Hz」や「240Hz」といった「リフレッシュレート」の記載を目にします。倍速や4倍速を謳う製品の良さ、その数値が意味する事とは? 画質との関連は? テレビ選びで重視すべき? さまざまな疑問にお答えします。

鴻池 賢三

執筆者:鴻池 賢三

オーディオ・ビジュアルガイド

「リフレッシュレート」とは何か?

「リフレッシュレート」とは、そもそもパソコンの世界で使われてきた言葉です。「Re-fresh rate」――つまり、画面を更新する頻度を指し、「60Hz」なら1秒間に60回、「120Hz」なら1秒間に120回、画面を更新するという意味です。

例えば、マウスを動かして、モニタ上でカーソルが移動する光景を思い浮かべてください。ごく当たり前で気にも止める方はいないと思いますが、実は、パソコン側では結構大変な作業。マウスの動きを反映した画面全体の静止画(グラフィック)を生成し、次々と素早く切り替える(更新する)ことで、カーソルが動いているように見せているのです。

ペラペラ漫画を想像すると分かりやすいですが、リフレッシュレートが高いほど、動きをより滑らかに表現することができることをご理解頂けるでしょう。

パソコンでは60Hzが一般的ですが、高画質なアクションゲームでは高性能なグラフィックカードを用いて120Hz表示するようなケースもあります。

 

フレームレートとの関係は?

パソコンの世界では、映像(グラフィック)をパソコン自体が作り出すので、「高リフレッシュレート=より滑らかな動きを表現」と言えました。

一方、テレビの世界では、放送システムのフレームレート(1秒間あたりのコマ数)が決まっているので、「高リフレッシュレート射コーリより滑らかな動き」とは言えません。

具体的には、現在主流の地上デジタル放送は60コマ/秒(インターレース方式)で送出されていて、原則、テレビは60Hzで表示できれば過不足なしという訳です。

Blu-ray映画は大半がオリジナル映像と同じく24コマ/秒(プログレッシブ方式)で収録されているので、少し事情が異なります。テレビが48Hz(2倍)、72Hz(3倍)などで表示できれば、同じコマを単純に2度、3度と表示すれば済みますが、60Hz固定の場合は、24コマを60コマに変換する必要があり、割り切れない部分が映像の不自然さとなって現れます。

 

テレビで高いリフレッシュレートは無意味?

60Hzと120Hzの違い(イメージ)

60Hzと120Hzの違い(イメージ)

テレビでは放送システムの規格から、60Hz表示できれば過不足がないと述べましたが、カタログを眺めると、「120Hz」(倍速)や「240Hz」(4倍速)の文字を見かけます。これらは無意味なのでしょうか?

結論から言えば、「液晶パネルの弱点」を補う重要な役割を果たします。

液晶パネルは、次の映像が来るまで、前の映像を表示しておく「ホールド型」と呼ばれる性質を備えています。パソコンで事務作業を行うなど、静止画の表示ではチラツキを感じにくく好都合なのですが、動画の場合、前のコマと次のコマが時間を空けずに切り替わると、液晶の応答が機敏でないこともあり、映像の動いている部分がボヤケているように見えてしまいます。これが、液晶テレビの弱点として知られる「残像」の主な原因です。

「120Hz」(倍速)や「240Hz」(4倍速)を謳うテレビ製品は、コマとコマの中間に、新しいコマを作って埋めることで、ホールド型の表示方法はそのままに、残像を目立たなくできるという訳です。

ほかにも、「120Hz」や「240Hz」なら、60コマのテレビ映像も、24コマの映画映像も、共に無理なく整数倍で表示できるので、画質面でも有利というメリットがあります。

 

テレビを買うときはどう判断すれば良い?

ソニーBRAVIAの場合、ロゴで明示

ソニーBRAVIAの場合、ロゴで明示

残像が少ないほど目の疲れが軽減され、大きなメリットと言えます。可能であれば、「120Hz」(倍速)や「240Hz」(4倍速)を謳う製品に注目したいものです。

一方、「新しいコマ」は、元の映像に含まれず、テレビが作り出すので、メーカーの考え方や製品による性能差が画質を大きく左右します。

例えば、単純な計算でコマとコマの中間のコマを作って補間すると、ヒトの動きはロボットのようにヌルヌルしたように見えるなど、不自然になりがちです。ほかにも、無理に新しいコマを作らず、バックライトを消灯して「黒画面」を挿入し、元映像の自然な動きを残したまま残像を低減する考え方もあります(この方式は点滅によるチラつきが気になりやすく、輝度が低減するなどデメリットもある)。

長年テレビを作りづづけてきた大手メーカーは、豊富な経験から、コマ補間や黒挿入を巧みに使いこなし、残像の低減と自然な動画映像を実現しています。

例えばソニーの4K液晶テレビの場合、倍速(120Hz)駆動のパネルを使用して独自の高画質技術で補間コマを生成し、さらに、バックライトのコントロールを組み合わせることで、自然で滑らかな高画質の追求と、480Hz相当(8倍速相当)の残像低減を図っています。
  他にも、各社でいろいろな取り組みがなされています。詳細は、各社のホームページやカタログなどでも明記されていますので、チェックしてみてください。

ちなみに、残像は大画面ほど気になりやすいもので、32型程度までなら、あまり気にしなくても良いでしょう。40型以上の大画面なら、予算の許す限り、120Hz(倍速)以上を選びたいものです。

 

さいごに

最近登場した有機ELテレビは、自ら光を放つ「自発光」タイプで、液晶のように反応に時間が掛かるシャッター構造を持たないため、残像が少ないというメリットがあります。

また、2020年に実用放送が検討されているスーパーハイビジョン放送は、8K高解像度だけでなく、120fps(120フレーム/秒)と時間軸方向にも高解像度化される予定です。映像の動きがより滑らかでリアルになるのはもちろん、表示パネルの進歩も加わって、残像の心配も少なくなりそうです。
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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