9割を超える二世帯同居の満足度
実際に30年間暮らした方々は二世帯住宅をどう評価しているかを見てみると、下のグラフのように「91%が満足」という結果になりました。二世帯住宅にしてよかったことを建設当時の子世帯に伺ってみると「親の老後の世話がしやすい=70%」、「安心して旅行や外出できる=55%」、「急病の時心強い=55%」と、全体的に安心感があることが二世帯住宅のよさだという声が多く見られました。
この安心感が二世帯同居の大きなメリットとなり、高い満足度につながっているのでしょう。
二世帯住宅には欠かせない「空間や暮らしを分けること」
とはいえ、「空間や暮らしを分けている二世帯住宅」であっても、一つ屋根の下で同居しているわけですから、何かと気遣いも必要になってくるはずです。「二世帯同居で配慮が必要なことは?」という問いに対して「ライフスタイルやプライバシーの尊重」や「生活空間の分離」を挙げる方は80%を超えました。これは、他の項目に比べて非常に高い数値です。
この結果からも、二世帯住宅では「空間や暮らし方を分ける」ことが大切なポイントだということがあらためて確認できました。そして、当初そういった配慮がなされた「二世帯住宅」だからこそ、前出のように91%という高い二世帯同居満足度につながったと考えられます。
「空間を分け、水廻りは2つ」が満足につながる
生活を分けるため、水廻りを2つつけることを提案したことが、二世帯住宅の大きな特徴です。二世帯住宅における設備や空間の分離度の評価をより細かく把握するため、今回の調査では、建築時の数と同居経験を踏まえた水廻りと玄関の希望の数とを比較・確認しました。その結果、キッチンと洗面は予想通り、建設時2つ設置され、希望も「2つ設置」の割合が高くなっています。少し意外だったのは「洗濯機」です。1つで計画した方の約半数が「やはり2つ必要だ」と回答しています。洗濯機が2台あったほうが作業効率が向上するだけでなく、下着などあまり見られたくない要素も多く含まれているからではないでしょうか。
なお、「玄関」については、1つでも許容されやすいという傾向が調査で分かりました。
この調査から言えることは、
- 二世帯住宅で暮らす家族は、30年を経ても同居満足度が高いこと
- 満足度を保つためのポイントは、空間や暮らしを分けること
水廻りと玄関のあり方は、家族によって違いがあると思います。その中で、水廻りと玄関の数については、この調査結果からみると、「キッチンや洗面はもちろん、洗濯機も含め、水廻りは迷ったら2つがオススメ」といえます。玄関は1つでも許容されやすいことから、「1つか2つのどちらがよいか、よく検討して家づくりをするのがよい」でしょう。これらの結果は、これから二世帯住宅を検討される方にとって、具体的で有効なアドバイスになると思います。
本調査では、二世帯住宅における介護や子育て協力の実態と評価などについても調べています。これについては、次回の記事でご紹介したいと思います。
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