住宅購入の費用・税金/確定申告・住宅ローン減税

住宅を売却したときの確定申告 2015年申告版(5ページ目)

住宅を売却したときに利益があれば、確定申告をしなければなりません。このとき、マイホームについては3,000万円の特別控除または買換えの特例を適用することができます。逆に、売却による損失があれば、損益通算・繰越控除の特例によって所得税の控除を受けることができます。それぞれの手続きをよく確認しておきましょう。

執筆者:平野 雅之


買換えの特例の確定申告

居住用財産の買換えの場合、譲渡損失があれば「譲渡損失の損益通算・繰越控除」を、譲渡所得(利益)があれば「買換えの特例」(特定の居住用財産の買換えの特例)を利用することになります。

その一方で、譲渡所得があった場合には「3,000万円の特別控除」もあり、どちらを利用するかはケースバイケースです。どちらの要件にも該当するときには、実際に計算してみたうえで判断します。

「買換えの特例」では、譲渡価額よりも新たな住宅の取得価額のほうが高ければ、その譲渡はなかったものとみなして課税されませんが、取得価額のほうが低い場合には、その差額について課税されます。

したがって、適用要件に該当したうえで譲渡所得が3,000万円以上となり、かつ譲渡価額以上の住宅を取得するなら、原則として「買換えの特例」を利用することになるでしょう。

ただし、この買換えの特例は “課税の繰り延べ” であり、取得した住宅を将来に譲渡したとき、まとめて課税されることになるので注意が必要です。また、この特例を利用すると取得した住宅については「住宅ローン控除」が使えません。

さらに、2014年度(平成26年度)の税制改正により「譲渡金額が1億円以下」という要件が加えられています。

なお、買換えの特例について詳しくは≪マイホームの売却と買換えの特例≫をご参照ください。



主な適用要件

譲渡した年の1月1日現在で、譲渡した住宅の所有期間が(土地・建物とも)10年を超えていること
 
譲渡した住宅での本人の居住期間が10年を超えていること
 
譲渡金額が1億円を超えていないこと
 
配偶者や直系血族、生計を一にする親族など、特別な関係者への譲渡ではないこと
 
譲渡した年の前年から翌年12月31日までに新たな居住用財産を取得し、さらにその翌年12月31日までに居住を開始すること(またはその見込みであること)
 
新たに取得する住宅の登記上の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下であること
 
新たに取得する住宅の敷地は500平方メートル以下であること
 
買換え後の住宅が中古マンションなど(耐火建築物)の場合には、取得日時点で築後25年以内であること、または築後25年超のもので地震に対する安全性の基準に適合することが証明されたものであること
 
譲渡年を含む過去3年以内に他の居住用財産の課税特例の適用を受けていないこと

その他、詳しくは ≪マイホームの売却と買換えの特例≫ をご覧ください。



用意する書類

確定申告書【B】(第一表・第二表)+第三表(分離課税用)
 
「譲渡所得の内訳書(計算明細書)」
 
譲渡にかかる売買契約書の写し
 
譲渡した資産の登記事項証明書
 
譲渡した住宅の所在地における住民票の写し(譲渡後2か月以降のもの)、または戸籍の附票の写しなど
 
買換え資産の明細書(譲渡の翌年に取得予定の場合)
 
取得にかかる売買契約書の写し、領収書の写しなど(取得価額を明らかにするもの)
 
取得した住宅の登記事項証明書
 
取得した住宅の所在地における住民票の写し
 
耐震基準適合証明書または住宅性能評価書の写し(築後25年を超えるマンションなどに買換えた場合)



page2 ≪3,000万円の特別控除
page3 ≪譲渡損失の損益通算・繰越控除(買換えるとき)≫
page4 ≪譲渡損失の損益通算・繰越控除(買換えないとき)≫
page5 ≪買換えの特例≫


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