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森優貴『オセロー&オテロ』インタビュー!(3ページ目)

ドイツ・レーゲンスブルク劇場芸術監督の森優貴さんが、この夏セルリアンタワー能楽堂に登場! 2008年に伝統と創造シリーズ第1弾『ひかり、肖像』を手掛け、好評を博した森さん。今回は、能、ダンス、オペラのアーティストと共に、シェイクスピアの『オセロー』を題材にした新作を発表します。ここでは、創作にあたる森さんにインタビュー! 作品への想いをお聞きしました。

小野寺 悦子

執筆者:小野寺 悦子

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2012年にレーゲンスブルク劇場の芸術監督に就任された森さん。日本人として初のヨーロッパ公立劇場の芸術監督でもあり、大きな注目を集めています。芸術監督として、普段はどのようなお仕事をされていますか? また、ご自身が踊られることもあるのでしょうか?

森>芸術監督として、まずは市の役員との会議やスポンサー会議など、あらゆるミーティングに顔を出します。もちろん、カンパニーの方向性やプログラム、スケジュールを決めるのも芸術監督の仕事。また劇場専属振付家でもあるので、外部からの振付家を招聘しないときは全て自分で作品をつくります。それに州立ではなく市立と劇場が小さいため、それこそミュージカルやオペレッタの場面場面にダンサーが出演することもあれば、僕が振付を担当する場面もある。そうなると、一年間ずっとつくりっぱなしになります。

就任後のオープニング・プログラムでは、最初の企画ということで自分も踊りました。またこの春、元鼓童のレナード衛藤さんがヨーロッパに文化大使としていらしたとき一緒にクリエイションをすることになり、久しぶりに僕も出演しました。そこで踊ったのが、たぶん1年半ぶりくらい。普段は芸術監督の仕事でいっぱいいっぱいで、なかなか自分が踊るところまで手が回らないというのが実情ですね。

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(C)佐藤美紀


森さんのクリエイション法とは?

森>僕は基本的に音楽を第一歩としているので、まず音楽を探す行程からはじめ、音楽から作品を決めることが多いですね。逆に構成やアイデアがまずあって、そこに音楽を持ってくる場合もありますが、こちらの方が自分にとっては難しい。音楽が決まると、舞台美術や照明などだいたいの構成も決まる。ダンサーをどう使って、どういう風に動き、舞台転換がどうあって……というイメージが全体の6割くらい頭の中で出来上がるので、そこから振付に入っていきます。だから、ダンサーとスタジオで振付をはじめるのはもう本当に最後の最後。

というのも、企画自体が公演の一年前にはもう決まってしまうので、どうしてもこのやり方になるのです。一月に評議会へプログラムを提出し、記者会見があって、発表されるのが三月。それまでにコンセプトから使用楽曲、舞台美術や衣裳デザイナーを決め、それを文面にしてパンフレットをつくる必要があります。

そのためには、9月にシーズンがはじまり、秋の新作を10月中旬から11月の頭に上演し、それが終わった時点でもう一年後のプログラムを決めなければなりません。劇場で仕事をしていると、やはりスケジュール的にも、最終的に頭の中に出来上がったものをダンサーに渡す形になってしまいますね。

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(C)佐藤美紀



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