リーダーシップ/リーダーシップの基本知識

グローバルリーダー道-多様性を理解する視点-(2ページ目)

グローバル元年と言われる2010年を境に、企業や大学では、グローバル人材の育成に本気で取り組みはじめました。前回はリーダーシップ論の新潮流と題して、「コネクティング・リーダーシップ」をご紹介しましたが、その中のDIVERSITY(多様性)の理解を促進する上での有効な視点をご紹介しましょう。

藤田 聰

執筆者:藤田 聰

キャリアプラン・リーダーシップガイド

人間関係、道徳を大切にするモラルコード(道徳的規範)

手土産はモラルコードでは通用するが、リーガルコードでは効果は期待できないもの

手土産はモラルコードでは通用するが、リーガルコードでは効果は期待できないもの

人間関係中心の社会で、アジアでは儒教・ヒンズー教・仏教圏、ラテンアメリカ、南ヨーロッパ、アフリカ中部ではカトリシズム(キリスト教旧教)が原型です。

様々な特性を身に付け、良好な人間関係を築けば、仕事もうまくいくという考え方が強い国々です。人間関係重視のモラルコードの最大の問題点は汚職ということにあるでしょう。

汚職に対して取り組む国際的な非政府組織の調査報告(2010年度)では、中国(78位)、ベトナム(116位)、ロシア(154位)など、モラルコードの国々は比較的順位が低いものです。アジアの中で、法治国家のシンガポールは世界一の透明性を持つ国としてランキングされています。因みに、日本は17位になっています。

神の教えが絶対であるレリジャスコード(宗教的規範)

神の教えが社会の中心であり、イスラム教が原型です。神の教えが政治や経済や社会をコントロールし、神の教えが憲法という国々です。

原則として、イスラム文化圏の国々です。地理的にはイスラエルやレバノンを除く中東、北アフリカ諸国、パキスタン、バングラデシュなどの南アジア、東南アジアのマレーシアなどが属します。

現在、イスラム教徒は16億人と言われ、世界人口の1/4を占めます。同じ神の下、世界各地にいても結束できる稀有な力を持っています。一神教ではない日本は欧米よりも中立的な立場であり、現在のような敵対関係を抑え込む立場でもあるのです。

3つのコードのうち2つ以上が混在しているミックスコード

最後のコードは紹介した3つのコードのうち、2つ以上の要素が顕著に存在している文化圏です。

例えば、白豪主義を中心に、多民族や多文化の受け入れや排除を繰り返すオーストラリア、ベースはモラルコードでイギリスの植民地であったためにリーガルコードが上書きされたインド、キリスト教の旧教と新教が拮抗するドイツやオランダ、キリスト教やイスラム教以前の全てのコードが混在する民族宗教(ユダヤ教)の影響下にあるイスラエルです。

以上のように、世界地図を平面でなく、空間軸(4つの文化コード圏)と時間軸(約5000年間のその国々の歴史)で立体的に視ることができれば、異文化や多様性の理解と尊重に有効な視点であると思います。

推薦図書:
グローバル企業で30年間伝え続けてきた「世界で戦える人材の条件」
:渥美 育子著 2013刊 PHPビジネス新書

ガイドの私も拝読しましたが、非常に共感できる内容です。30年間以上、人種を越えたグローバルリーダー育成体験を基に、独自の視点でわかりやすく書かれた良著です。



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