ストレス

「いい会社」「いい家」なのに満足できない心の謎(2ページ目)

人もうらやむような「いい会社」に勤め、「いい家」に住み、生活に不満はない。それなのに、「このままでいいのだろうか?」となぜか満足できない。こんな気持ちになってしまうのは、贅沢なのでしょうか? わがままなのでしょうか?「不満じゃないのに満足できない」という微妙な気持ちの謎を解説します。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

「幸せな主婦」に満たされない思いが湧く訳 

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何不自由ない生活なのに、何かが満たされない・・・・・・

ところで、この動機要因と衛生要因は、仕事だけでなく、身近にあるさまざまなことにも当てはまるように思います。

たとえば、理想の男性と結婚をしてあこがれのマイホームを建て、子どもにも恵まれたBさん。夫の収入で生活は安定し、義父母も優しくて、ご近所のママ友付き合いも良好。「何の不満もないんだけど、何かが足りないような気がするの……」。女友だちにうっかりこんなグチを言ってしまうと、速攻でブーイングを浴びそうです。

Bさんは、その「足りない何か」を満たすために、家のインテリアをステキにしたり、ピカピカに家を磨きたてたりするかもしれません。でも、そうした衛生要因の充実ばかりを図ったとしても、Bさんの「不満」がなくならないだけで、「満足」は得られないでしょう。

「動機要因」に夢中で、「衛生要因」を怠ると?

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動機要因ばかり追いかけて、家庭の衛生要因を軽視していませんか?

この場合、Bさんが主婦としての自分の心を満たす動機要因に目を向ければ、「何かが足りない」という思いを解消できるのではないかと思います。たとえば、家事のかたわらにパートや趣味で自己実現をしてみる。ボランティア活動を始めてみる。すると、達成感ややりがいが湧き、生活への充実感を感じられるかもしれません。

ただしこの際、家庭の衛生要因も怠らないように注意しなければなりません。「家事や子どもの世話は二の次」「自己実現にばかり散財している」、というように動機要因の充実にばかり夢中になっていると、たちまち家庭の衛生要因が貧弱になり、家族の不満が高まってしまうでしょう。こうして家庭にほころびが目立つようになると、主婦としての充実感が失われてしまいます。

仕事でも家庭でも、衛生要因と動機要因の双方が満たされたときに、初めて「ここにいてよかった」という充実感が湧き、生活を楽しく続けていくことができるのではないかと思います。
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