コーチングでは、「聞く」ことがとても重要な役割を果たします。コーチ型のマネジャーの仕事の大半は「聞く」ことにあるといっても過言ではありません。なぜなら、人は自分の考えを話すことによって初めて認識するからです。「もやもやしていたことを話したら、はっきりした」ということは誰もが経験していることでしょう。聞くことは、関わる相手のパフォーマンスを発揮させる上において重要な能力です。今回は、聞く力を伸ばす方法について取り上げます。
意識的に聞くと問題解決できる
聞くことはマネジャーの重要なスキル
聞くことは大事であるというのはわかっていても、辛抱強く相手の話を聞くには努力がいります。それは脳の情報処理のスピードと関係します。私たちは1分間に100~175単語話しますが、聞くことができる単語数は600~800といわれています。
すなわち、聞いたことを処理するスピードが圧倒的に早いので、相手が話しているうちに他のことを考えしまうのです。しかし、集中して相手の言うこと聞くと、以下のことを手に入れることができます。
- 得られる情報が増える
- 相手への理解が高まる
- 指示すべきことが明確になる
- 問題が解決する
- 興味が共有できる
- 相手が感じていることに共感できる
- サポートをすることができる
マネジャーとして以上のことが手に入れることができると考えれば、聞くことがどれだけ重要であるかがおのずとわかってくるはずです。
「聞く」ことの誤解を解く
「話を聞く」という言葉の背景に、私たちが無意識に持っている誤解があります。
- 話す人より、聞く方が受身である
- 問題の解決を求められている
- 同情や共感を求められている
- 要求を受け入れるように求められている
- つまらない話でも付き合うことを求められている
しかし、人は自分が口にしたことを自分で聞いて初めて「自分はこんなことを思っていたんだ」と気づくことがあります。話すということは単なる情報伝達ではなく、会話すること自体に価値があるということがわかります。つまり、「聞く」ことは、相手に自分のことを理解する機会を与えていることになるのです。このことに意識を向ければ、聞くことに積極的に取り組めるようになります。