あなたも知らぬ間に
「値引き」されている!?
いつも約束の時間に来ないあの人。これも一つの「値引き」被害 |
それだけではありません。世知辛い世の風を反映してか、昨今は人間の「値引き」も活発に行われる時代。給料、労働条件など雇用面での値引きは言うまでもなく、実は、身近な人間関係においても、「値引き」は日常的に行われているのです。
たとえば、ちょっとした会話の端々で、まじめに話したことを茶化されたり、無視されたりするようなことは、案外よく起こりますよね。このように、人や人を取り巻く状況を低く評価することを、心理学では「ディスカウント」(値引き)と言います。
他人への代表的な値引きには、次のようなものがあります。
【他人を値引きする典型的なパターン】
● 無視する、軽視する
例)笑顔で挨拶しているのに、会釈程度でそっけなく通り過ぎる
● からかう、馬鹿にする
例)提出した書類によく目も通さず、「なんだこれ」と鼻で笑う
● 人の意見を聞かず、独善的に話す
例)自分ばかりが話をして、周りに話す機会を与えない
● できることに、手を貸してしまう
例)大人になっても、子どもの世話を焼きたがる母親
● 注意しない、アドバイスしない
例)飲酒運転は事故の原因になるのに、注意をしない
あなたの隣のマニピュレータに
ご用心!
ちょっとした自慢話から「値引き」の罠にはまることも! |
たとえば、私の知り合いに、自分の美容法を自慢する「美容オタク」がいます。その言い方が、「シワには、これを使わなくちゃダメよ」「これを使ったから肌が若返ったの。アラフォーは絶対これよ」と、とても独善的で強引なのです。
ネズミ講ではないので、他人がそれを買っても利益はないのに、なぜここまで強く勧めるのかと、と不思議で仕方がありませんでした。しかし、実はこれは巧妙な「値引き」なのです。彼女には、自分の得意な情報で他人を振り回すことで、常に会話の主導権を握りたいという自己愛があるわけです。
その術中にはまり、美容法を試したが最後、「実はそれより、もっとすごいクリームを使ってるのよ」「会員だけのエステに行ってきたの」と、美容法の自慢話は止まらなくなります。追いかけても、彼女のレベルには到達できず、美容の話題が出るたびに、相手にみじめな思いをさせる仕組みになっているわけです。
ちなみに、このように一見分かりにくい値引きは、「モラル・ハラスメント」でよく見られます。このような巧みにモラハラを行う人を、「マニピュレータ」(人の心を操作する人)とも言います。もはや、こんな関係は対等な友情とは言えませんが、身近な友人関係でありがちなケースです。