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宮地直樹さん:キャラクタービジネスの仕掛(2ページ目)

大資本で展開するキャラクター商品化ビジネスに対して、作家を自ら見い出し、1からコンテンツビジネスを仕掛けている、宮地直樹さんへ、そのプロデュース方法や仕掛けについてお伺いしました。

執筆者:塚田 祐子

コンテンツビジネス・プロデューサーの仕事とは

---キャラクタープロデュースは、具体的にはどのようにされているんですか?

コンテンツビジネスの組立てには、考え方として、大きく分けて2種類あると思います。1つは、大きな仕掛けによって知名度をあげて売るキャラクター。大手玩具メーカーや出版社、テレビ局などの大企業が多額な資本をかけてやるテレビアニメなどの、大きなプロジェクトですね。

もう1つは、店頭などで、初めて見て、そのキャラクターが好きになって、その商品が欲しくなる。そういう魅力あるキャラクターを手掛けるビジネス。ウチは、後者をやるしかない。1人でやるには、そういう方向のビジネスじゃないとできないですからね。大きいものは、大企業がやればいいことですから。

---売れるキャラクターを見極めるポイントは?

自分が気に入ったものがあれば、それをビジネス化することを考える。
基本的には、好き・嫌いです。
どれが流行るかというのは、はっきり言って分らないですよ。

業界で、色な人が色んなことを言いますが、成功したモノの後付けなら、何とでも言えます。売れるキャラクターの法則というのは、データを集めればできるとは思いますが…、でも、それが分かっているなら、みんな100%成功しているはずです。だから、取っ掛かりの段階では、自分の好き・嫌いで判断しています。

---キャラクターや作家をどうやって探しているんですか?

色なところへ出掛けます。街歩きも好きなので、土日はどこかへ行っているし、イベントがあれば見にいきます。気に入ったものがあると、作品や連絡先を聞いておいて、その後も、気になるようだったら連絡をとるというようなかたちです。でも、最近は、知り合いからの持込みが多くなりました。

紹介された作品は、基本的に全部見るようにしています。時には、(描いた本人の)人生相談になることもあります。持込みの仕方や、どういうふうに作ったらいいのかをアドバイスをしたり。

---よし、このキャラクターをやろう、と思う時の決め手は?

自分は、人間重視です。

キャラクターが気に入っても、話をして人間的に合わないとか、人間性をみてダメだと思ったら、やらないですね。だからと言って、素直な子がいいという意味ではないです。どう見ても、一般からすると変だと思うやつでも、けっこういい人だったりする。

仕事って、人のつながりが重要です。ちょっと売れたりすると、勘違いするクリエイターの子たちもいるんですよ。そうすると、一気に仕事がなくなっていくこともあります。それは、現実です。それに、人として付き合えないと、こいつのために、頑張ってやろうと思えないし、プロデュースの仕事していても面白くないじゃないですか。

---イラストとキャラクターとの違いというのは?

可愛いイラストを描ける人はたくさんいますが、ちゃんと世界観が作りこめるかどうかですね。イラストレーターの方が来ると、“物語とか作れますか?”って聞いています。

ジーくんとバケツたんけんたい
1:世界観が創れる人、例えば、これは、自分がプロデュースしたかげやままきの「ジーくんとバケツたんけんたい」(岩崎書店)という絵本です。出合った頃は、ポストカードなどの絵を描いていたんですが、物語りを作れるんじゃないかと思って話をしてみました。本人的には、そういうことは考えていなかったようですが、実際、お話を作ってみたら、作品を見た出版社が、絵本を出そうということになりました。

ポイントは、お話が書けるかどうかです。
それが、キャラクターの世界観になります。


キャラクターコンテンツ ビジネスを成功させるには

---これはいけると思ったキャラクターを、ビジネス化するには?

さっき、自分の好き嫌いで、キャラクターは決めると言いました。自分でいいなと思ったものを見つけたら、それを客観的に検証するために、次に第3者の目で見てもらいます。

ウチの場合は、デザインフェスタなどのイベントへ、キャラクターのサンプル品、例えばぬいぐるみとかポストカードとか、絵本を作って出品しています。そこで、お客さんの反応をみます。商品を見て、どんな会話をしているのか、買ってくれる人の話を聞いたりします。それらを見て、ビジネス展開できるかどうか判断します。

ここでいけると思ったら、次にビジネスプランです。どういう戦略をもって、展開していけばいいかを考えて、それに合わせて各メーカーや出版社等へ営業をかけていきます。

企業へ提案する前に、自分で売ってみる。マーケティングリサーチですが、よく考えると、これは、当然のことなんですよ。ただ、大きい会社になればなるほど、意外とやっていない所もあるようです。

ウチのビジネスのやり方は、マスで認知されているキャラクターではないので、売場で出合った瞬間“あっ、これは欲しい!”と思ってもらえるかどうか、そこが勝負なんです。どうやったら、その確率を高められるか、そのためには、自分で1回売ってみるというのが正解だと思います。

これをやると、メーカさんへも自信をもって提案できます。“これ、売れますよ!”と言えるわけです。

『すしあざらし』(作家:えだいずみ)が大ヒット!
すしあざらし
1:業界へ見せた時は、これは無理じゃないかと、ほぼ100%否定されました。
でも、僕は実際にマーケットに出しているので、いけるなと思っていたんです。それを続けて、実績を積んでいった結果、組めるメーカーさんが出てきて、それでやったらヒット!したという好事例です。


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