甘味処

更新日:2008年09月01日

「船橋屋」の「くず餅」15ヶ月の眠りから

関東育ちの私にとって「くず餅」と聞いてパッと頭に思い浮かぶのは、「葛」ではなく、発酵させた小麦でん粉を使ったもの。今回は東京の亀戸天神門前に本店を構える「船橋屋」でくず餅の作り方を拝見してきました!

船橋屋のくず餅はなぜ台形?

くず餅
黒蜜もきな粉も
スプーンでたっぷり掬って
残さず食べたい
船橋屋のくず餅が台形なのは、黒蜜ときな粉と絡みやすくするためと聞きました。喫茶室でくず餅を注文するとスプーンが添えられてくるのですが、この形だとスプーンでもきちんと掬えます。

箸で食べると黒蜜ときな粉が逃げてしまうところを、この食べ方だとたっぷり味わえて嬉しくなります。くず餅によく絡む自家製の黒蜜はとろりと濃厚で、香ばしく煎り、粗めに挽いたきな粉とのバランスが程好いのです。

よしの餅
本店の喫茶室で食べられる
「よしの餅」
自家製のこし餡と黒蜜をとろり
喫茶室では柔らかいくず餅が、ぬる過ぎず冷た過ぎず絶妙の食べ頃状態で運ばれてきます。冷蔵庫で冷し過ぎると固くなるので、家で食べる際にはご注意を。

ところで以前、関東のくず餅を食べてみたいという京都出身の知人にくず餅をご馳走した際、一口食べて「うーん」と微妙な表情。味噌やヨーグルト、チーズに好き好きがあるように、発酵食品である「くず餅」のわずかな癖が気になるのかなと思ったらそうではありませんでした。彼女の頭にインプットされている「くず=葛」が、「関東版」くず餅の食感を受け入れないのだとか。「音」や「文化」が味覚に与える影響は面白いです。

乳酸発酵させた小麦でん粉と水、黒蜜ときな粉の他には何も入っていないくず餅は、美味しくて体にも優しい食べ物。関東以外の地域ではあまり見かけることがないものですが、ずっと伝えていきたい素朴なおやつです。他の地域にはないものだからこそ、より大切にしたいと思うのです。

<店データ>
「船橋屋」
亀戸天神前本店所在地:東京都江東区亀戸3-2-14
TEL:03-3681-2784
営業時間:9:00~18:00(喫茶室~17:00)
JR総武線亀戸駅より徒歩約10分
地図:亀戸天神前本店

◇予算:
【喫茶室】
「くず餅」530円
「よしの餅」530円
【持ち帰り】
「くず餅」1人前(予約制)420円
2~3人用777円
4~5人用966円
6~7人用1,197円(以上税込)

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この記事の担当ガイド

写真

原 亜樹子

和菓子のみならず、欧米の菓子にも造詣が深い。お菓子研究家として活動中。

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