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プレゼンテーションで事例を使うメリットとデメリット
事例・前例を使うのには、メリットもデメリットもあります
「この人、なんか頭の中のイメージだけで提案してきているな。実行したとしても、提案書のとおりにならなさそう……」と感じられてしまう。いわゆる“絵に書いたモチ”といったところ。では、そんな風に受け止められないために、どうやってリアリティを企画に盛り込めばよいのでしょうか?
企画・提案が“過去の誰かの体験談”であること
企画・提案にリアリティを演出させたければ、その企画・提案の内容を現実の世界(リアル)から持ってくるのが一番です。つまり、過去の誰かの実践事例を拝借してくるということ。イメージしやすいように、2つ事例を比較してみましょう。たとえば、あなたが60年前のウォルト・ディズニーだとします。「ディズニーランドという夢のテーマパークを作りたい。そのための出資をお願いしたい」ということを投資家の人にプレゼンするとしたらどうでしょうか?
完成したディズニーランドの魅力を投資家に理解してもらうのは、なかなか難しそうな気がしませんか? それもそのはず。ディズニーランドが完成するより前の段階で、聞き手の頭の中には「夢のテーマパーク」像がないのですから。前例がないというのはこういうことです。
ただし、そうした前例・事例のないものにリアリティを込めることが、絶対に無理だと言っているわけではありません。現に、ディズニーランドは多くの人の協力のもと、完成して私たちの目の前にあるわけですから。ウォルト・ディズニーのような圧倒的なイメージング力と、それを人に伝える力さえあれば、無からリアリティを生みだすことはできるわけです(大変だけど)。
前例・事例がもつインパクト
一方、前例・事例があり、それをベースに語るのならば、簡単にそこにリアリティを持たせることができます。だって、実際に起こったことを、実際に起こったこととして話すわけですから、リアリティが出ないほうがおかしい。もしあなたが、ディズニーランドのような夢のテーマパークを日本に作りたいとしたら、どんな話をしますか? 実際のディズニーの話をするのではないでしょうか。なんといっても、それが一番聞き手にイメージしてもらいやすいです。リアリティも感じてもらえるでしょう。
本来ならば「なんだ、二番煎じか……」と思われないようにというケアは必要ですが、ここではリアリティだけを問題にしていると思ってください。
事例・前例を用いるメリット
■具体的なのでわかりやすい前例・事例を挙げるとことで話が具体的になることは述べた通りです。その“具体的である”メリットを心理的側面で言うと、前回から言っているリアリティという言葉になります。
それに加えて、論理的側面から言うと“わかりやすさ”というメリットにもなるわけです。話が具体的なぶん、聞き手からすれば「どこがこちらの要望とマッチしていて、どこがこちらの要望とマッチしていないのか」がわかりやすい。
■実績が安心感につながる
前例があるということはつまり、提案の受け手にとってみれば「自分たちが、その提案を初めて実行するわけではない」ということがわかります。つまり実績があるので安心であると。
誰もが実験台・モルモットにはなりたくないもの。前例・事例を語ることは、受け手に対して「あなたはモルモットではないですよ。成果が確認されている内容を提案しているんですよ」というメッセージになります。
事例・前例を用いるデメリット
■二番煎じと思われる前例があるということは、悪く表現するならば“その提案はオリジナルではない”とも言えるわけです。つまり二番煎じであり、受け手にとってみたら「うち向けの提案ではないの?」と思われるかもしれないということですね。
当然、そう思われないために対策が必要です。対策としては、語った前例・事例とはほんの少しでも違うところも盛り込んでおくことでしょう。前例をベースにして、スパイス的に2~3割程度のカスタマイズを加えるイメージですね。
事例・前例はどこから?
その事例・前例はどこから持ってくるのか? ビジネス的な提案ならば、“他社事例(他者事例)”と“自分の体験”の2つが王道でしょう。自社・他社に限らず企業に対しての提案ならば、他社事例は非常に強力です。「他の会社さんはこんな事を実行して、高い成果を出していますよ」といった表現で用います。
逆に個人に対しての提案ならば、自分自身の体験談はとても有効。「私自身も○○をやっているのですが、とっても良いんですよね」といった形で話してあげる。
事例を的確に用いることで相手のほしい情報を伝えることができたり、納得感を得られる内容になります。案件にあった事例を用いて、相手の心をつかむプレゼンストーリーを作りましょう。
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