建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

築80年の民家を再生[堀切菖蒲園の家](5ページ目)

かつて財団法人「同潤会」が建設した築80年の木造住宅の改修です。ここは建て主のMさんの叔母たちの幼少期からの住まいですが、床は沈み、柱は傾き、外壁、屋根、建具のほぼ全てが限界に達していました。大変愛着を持っておられるこの建物の良さが何かを考え、その歴史を繋ぎ、住空間をその延長線上で発展させる改修を施しました。

執筆者:川畑 博哉

テラスが繋ぐ家族の交流

 

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テラス
1. 通常より30cmほど高く設えられたガラス窓。天井は杉板張り。
2. 壁紙用の和紙を貼った障子を閉じたところ。
33. 屋根付きのテラスの床と目隠しはカルフォルニアのレッドシダー、柱と梁はヒノキ。
4. テラスで繋がる別棟とダイニング。
※2.以外の写真:アカデメイア


以前の四畳半の茶の間は、フローリングのダイニングとして大きく広げられました。高い窓がいっそう室内を広く見せます。窓には障子も付いていて、閉め切ることでガラッと雰囲気を変えることができます。さらに鎧戸式の電動シャッターも設置されていて、セキュリティーも万全です。母屋の南側には、約30年前に敷地内に建てられた別棟があります。この家と母屋を繋げるために、窓の外に屋根の架かった木製のテラスが増築されました。このテラスによって、母屋と別棟との行き来が容易になり、お互いの日常的な交流が支えられているのです。
「時代を超えた知恵と工法と意匠をたたえた古来の住宅は、少し手を加えるだけで驚くほど素敵なものに生まれ変わります。残したいものは、古いものではなく日本文化の豊かさです」という今井さん。その卓抜した知識とデザインによって、昭和初期の民家は見事な再生をとげ、100年住み続けられる家へと変貌を遂げたのです。

◆建築データと建築家プロフィール


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