妊娠してからではなく、今から。 赤ちゃんを望むなら知っておきたい、栄養不足のこと
葉酸を意識的に摂るべき時期は「いつから」が正解?
今まで大きなトラブルを感じたことがない人でも、妊娠に伴う体の変化と共に急に爪がもろくなったり、歯の傷みや歯茎からの出血…といったトラブルは珍しいことではありません。防ぐ方法はあるの?正しいケア方法をご紹介します。
提供:バイエル薬品株式会社
お話をうかがった方
東京医科歯科大学非常勤講師、京都府立医科大学特任教授。医学・医療情報を正確にわかりやすく人々に伝え、患者さんと医師・医療スタッフの良好な関係を育む「医療コミュニケーション」が専門。海外アンチエイジング情報の翻訳、取材も行う。ジャーナリスト、ヨガ・書道講師、料理講師、メノポーズカウンセラー。
たとえばハンドクリームをつけようとしたとき「あれ、爪がなんだかガサガサしているかも」と感じたり、タイツやニットにひび割れた爪先が引っかかったり…。妊娠中はなぜこれらの爪トラブルが起こりやすいのでしょうか?
「妊娠中だけでなく産後も含め、爪のトラブルは女性ホルモンの急激な乱降下や栄養不足によって起こると考えられています。とりわけ妊娠状態を維持するために妊娠中に多く分泌されるホルモンの一種、プロゲステロンは体内の炎症の元であるプロスタグランジンを刺激する物質として知られているため、さまざまな体の不調を引き起こします。また妊娠中は赤ちゃんに栄養が行きやすいため、母体に十分な栄養が行き渡らないと爪の代謝が滞り、傷んでしまうと考えられます」(宇山さん)
妊娠中はふだんとは異なる栄養やカロリーを摂取する必要があるので、爪のトラブルは栄養不足のサインである可能性も大! もしかすると胎児の栄養状態に影響が出ていることも…。「爪なんて、たいした問題ではないし…」と軽視せず、妊婦検診の際に医師や看護婦さんに相談をしたり、食事内容を見直すことが大切です。
妊娠中のジェルネイルやマニキュアはOK? またネイルケアはハンドクリームをついでに塗るだけでいいもの…? 水仕事の後のお手入れはどうすれば…? など、知っておくと役に立つケア法をうかがいました。
「ジェルネイルやマニキュアに関しては、医師に相談して行うようにしましょう。妊娠後期は、健康状態をチェックするために爪を見ることも多いので、なるべく素爪でいたほうが好ましいですね。とはいえ、ネイルはおしゃれのひとつ。妊娠中にしてはいけないことではありません。特にマニキュアは自分で手軽に塗れ、ファッションを楽しみながら爪の保護もできるというメリットも。ただし、頻繁に塗り替えをして除光液を使うことが多いと、爪が乾燥して表面が白くなったり、爪の周りの皮膚が荒れたり、爪自体も弱くなるので注意しましょう。
ジェルネイルに関しては、長持ちするのが利点なので爪が弱い人は強化することができ、保護につながります。一方でデメリットとして費用がかさむことと付け替えに時間がかかること、爪を少し削って装着することもあるため爪が傷むことも。施術が上手なネイリストさんに丁寧に行ってもらう必要がありますね」(宇山さん)
そして毎日の水仕事も、少なからず爪にダメージを与える原因に。
「爪の健康維持のためには、水仕事の後にそのまま湿った状態にしておかないことが肝心。食器を洗ったり、お風呂掃除の後はタオルで手の水気をきちんと拭うことが大切です。また出先のお手洗いで手を洗った後も、ガーゼなどの柔らかいハンカチで手の水気を拭いましょう。ジェット乾燥機は、皮膚や爪を必要以上に乾燥させるので避けたほうがベターです。硬いペーパーなどでふくのも皮膚や爪を傷つけるので注意しましょう」(宇山さん)
さらに、水仕事の後はハンドクリームやネイルオイルでケアをし、潤いのある手元をキープするのがポイント。
「台所や洗面所の近くにケアアイテムを置いておくなど、水仕事の後は保湿、というのを習慣づけるといいですね。ハンドクリームはビタミンE入りのものを選ぶと、血流促進効果があるので末端冷えが気になる人にもおすすめです。ネイルオイルは、ロールオンタイプのものなど最近は携帯にも便利なものがそろっているので、面倒くさくならずにお手入れが続けられるはず」(宇山さん)
私は歯が丈夫だから、とそんなふうに思っていた人でも妊娠中に虫歯や歯肉炎、歯周炎に悩まされたというケースは珍しいことではありません。
「爪のトラブルの話と少し重複しますが、妊娠中は、妊娠状態を維持するためにプロゲステロンという物質が多く分泌され、このホルモンに炎症を引き起こしやすくする働きがあるため、歯肉の炎症である歯周病になりやすい時期です。そして歯周病が虫歯も引き起こします。また、歯周病は早産の原因になるだけでなく胎児の発育にも悪影響を与え、出産後の赤ちゃんを歯周病に感染させてしまう可能性も。妊娠中はいつも以上に毎日のオーラルケアをしっかり意識して行いましょう」(宇山さん)
歯科検診やプロによるクリーニング(歯石除去)も受けておくのが好ましいそう。赤ちゃんが生まれてからだと育児に忙しく、なかなか時間もできないもの。
妊娠中こそ積極的に歯のメンテナンスをするべきなのです。
「妊娠中のオーラルケアですが、食後の歯磨きは当然のこととして、それ以外にも何かを食べたり飲んだりした後は水で口をすすぐことを習慣にしましょう。外出先で歯磨きができないようなときでも、水ですすぐだけで口の中がさっぱりします。ただ、歯にこびりつきやすいベタベタした食べ物や糖分が多い食べ物や飲み物を口に入れたときは歯ブラシで汚れを落とし、口をすすぐことを習慣に。
歯磨き粉は必ずしも使う必要はありません。研磨剤が多い歯磨き粉は、歯の表面を傷つけることがあるので歯磨き粉に会わせた磨き方で正しくブラッシングしましょう。歯間の汚れを取り除くデンタルフロスもおすすめです」(宇山さん)
歯磨き粉やデンタルフロスなど、どれを使えばいいの…? と迷ってしまう人は一度歯科医院に相談を。セルフケアアイテムが充実しているクリニックも多いので、“虫歯ではないのに歯科医院に行きにくい…”と敬遠せずに、気軽に訪れてみましょう。
妊娠中に歯や爪のトラブルが表れたときは、食事の栄養を見直すことも大切。
「たくさんありますが、
・たんぱく質(肉、魚、乳製品、豆類、卵)
・ビタミンA(レバー、うなぎ、あなご、緑黄色野菜)
・ビタミンB2(緑黄色野菜や果物)
・ビタミンD(マグロ、イワシ、サケ、レバー、卵黄)
・ビタミンE(オリーブオイル、ナッツ、アボカド)
・マグネシウム(豆腐、わかめ、ひじき)
・亜鉛(牡蠣、貝類、魚、卵)、カルシウム(牛乳、ヨーグルト、チーズ)
・葉酸(納豆、レバー、モロヘイヤ)
などを多く含む食品を毎日少しずつ食品の中に取り入れること。一気にたくさん食べてもあまり意味がないので、コツコツと続けることが重要です」(宇山さん)
歯や爪のトラブルというとカルシウム不足が頭をよぎるけれど、それも一理あるそう。
「妊娠中は妊娠していないときの約1.5倍(※)のカルシウムを摂取することが推奨されています。カルシウムを多く含む食品は上記に挙げた牛乳、チーズ、ヨーグルトなどがありますが、それ以外に干しエビ、ひじき、わかめ、豆腐、ゴマ、小松菜、モロヘイヤ、ブロッコリー、イワシなども。さらにカルシウムの吸収をよくするためにマグネシウムやリン、亜鉛、ビタミンDを含む食品も一緒に摂りましょう」(宇山さん)
※厚生労働省:妊産婦のための食生活指針(平成18年2月)より
食事の工夫ももちろん大切だけれど、忙しい日々の中でどうしても難しい場合は、サプリメント利用する方法もあります。
妊婦さんのためのサプリメントは日本ではそれほど普及していないけれど、海外の先進国ではもはや当たり前のこと。
「サプリメントに頼りすぎて食事がおろそかになるのは本末転倒ですが、骨や歯の形成に必要なカルシウムや、赤血球の形成を助ける葉酸などのサプリメントを取り入れるものいいですね。特に葉酸は胎児の発育のため、そしてママの栄養のためにも大切です。葉酸には、造血作用、細胞の発達、分化を助ける働きなどがあるので、妊娠中は積極的に摂ることを推奨されています」(宇山さん)
また妊娠前でも注意が必要だそう。妊娠に気づく前から育ち始めているお腹の赤ちゃんや自分自身の美のためにも、日頃から栄養バランスに注意し、生活するようにしましょう。
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バイエル薬品株式会社
掲載期間:2016年10月21日~2016年12月31日