妊娠してからではなく、今から。 赤ちゃんを望むなら知っておきたい、栄養不足のこと

“妊娠したら、葉酸をきちんと摂らなきゃ…”そう思っている女性も多いはず。でも実は、妊娠を望んでいるならば、妊娠してからではなくその前から意識的に栄養をきちんと摂っておくべきなんです。その理由とは……?

提供:バイエル薬品株式会社

お話をうかがった方

南 恵子

All About「食と健康」ガイド:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー、フードコーディネーター、日本茶インストラクターなどの資格取得。現在、食と健康アドバイザーとして、健康と社会に配慮した食生活の提案、レシピ提供、執筆、講演、商品企画協力等を中心に活動。毎日の健康管理に欠かせない食に関する豊富な情報を発信していきます。

栄養不足が原因のひとつといわれている、赤ちゃんの「二分脊椎症」のリスクを知っていますか?

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妊婦であるお母さんが、生まれてくる赤ちゃんのために、そして自分のために考えなければならないことのひとつに、食生活や栄養バランスがあります。お母さん自身が充分な栄養を摂れず、その影響が赤ちゃんにも…という事態には、誰もなりたくないことでしょう。

お母さんと赤ちゃんが共に健康な出産を迎えるために、いつか妊娠を考えている女性なら誰しもが知っておきたい「栄養」について南さんにうかがいました。

「一般的な20代、30代の女性の食生活に関していうと、毎日の食事などで摂取するエネルギーは低めで、野菜の摂取量も少なめの傾向が見受けられます。忙しいからと朝食を抜いてしまったり、食事ではなくお菓子などで済ませるような生活では健康的とは言えません。食事から摂取する栄養バランスが不足してしまわぬよう、とくに妊娠中は、赤ちゃんの成長のためにも母体には充分な栄養が必要であるということを認識しなければいけません」(南さん)。

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「もしも、お母さん、つまり母体の栄養バランスが崩れたり、必要な栄養素が不足してしまったりすると、それが赤ちゃんに影響をおよぼすことがあります。

『二分脊椎症』という疾患を聞いたことがあるでしょうか。これは、神経管閉鎖障害(NTDs)という疾患のひとつです。症状には個人差もあり、ひとくくりにはできませんが、本来皮膚や骨におおわれている脊髄が背中に露出した異常な形となってしまい、生後2~3日以内に背中の修復手術が必要になることもあります。この二分脊椎症を含めたNTDsの発生原因のひとつには、葉酸という栄養素の摂取不足があげられます」(南さん)。

ちなみに欧米諸国では、妊娠可能な女性に、NTDsの発症リスク低減のため、葉酸の摂取量を増やすべきだと勧告しています。これと比べて日本はもともと、二分脊椎症に代表されるようなNTDsの発症率が少なかったのですが、平成11年に厚生労働省の科学研究において増加傾向にあることが報告されたため、葉酸の摂取量が検討されました。

食生活の多様化により、食事から葉酸を十分に摂取している女性が減っていることが懸念されています。ただ、実際に葉酸をはじめとする栄養不足であったとしても、急に著しく体調が悪くなるといった変化が表れにくいので、そのことに気づいていない人が多いのも現状です。だからこそ正しい知識を身につけておくことが大切なのです。

葉酸を意識的に摂るべき時期は「いつから」が正解?

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葉酸を摂取する必要性を認識していたとしても「それは妊娠してからでいいかな」と思ってしまうかもしれませんが、実はそれは間違った認識です。

「厚生労働省では、妊娠を望む女性にとって葉酸摂取が重要であること、またその摂取時期については、少なくとも妊娠の1か月以上前から妊娠3か月までの間であることを明示しています」(南さん)。

通常、女性が“子供ができたかも…”と気づくのは、妊娠2か月くらいの時期が多いことを考えると、葉酸は“妊娠前”から摂取しておくべき大切な栄養素といえますね。

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葉酸を効率的に摂るためには、どうしたらいいの?

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一般女性の場合、葉酸の推奨摂取量は240μg(マイクログラム)/日とされていますが、妊婦なら480μg/日、妊娠を計画している人の場合は640μg/日が目安となります。ただし、一日に480μgの葉酸を摂るとなると、食材にたとえれば、枝豆(ゆで)なら約93さや、アボカドなら約3個、調整豆乳(200ml)なら約8パック、ブロッコリー(ゆで)なら約2株必要……という計算に。これを毎日続けるのは、なかなか難しいのではないでしょうか。1日640μgとなればなおさらです。

「そこで厚生労働省では、NTDsの発生リスク低減のために、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性は、通常のバランスの取れた食事の摂取に加えて1日400μgの葉酸を、いわゆるサプリメントなどから摂取することが望ましいと勧告しています。まずは日々の食事や食生活を見直し、意識的に葉酸を摂取するよう心がけながら、食事のサポートとして葉酸を効果的に取り入れられるサプリメントを活用して補っていくのがよいでしょう」(南さん)。

妊娠を考えている人のサプリメントの使用率は、海外(オーストラリア・中国・ロシア)の平均で約50%といわれ、積極的に取り入れる人が多い一方で、日本は約10%ほどというデータもあります。妊娠中においては、海外の約75%に対し、日本では約25%(バイエル調べ)。これからはもっと賢く積極的に、生活に取り入れていくことが必要になってくるのかもしれません。

ちなみに、サプリメントやトクホとして入手できる葉酸は、食品中に含まれる葉酸とは構造が異なります。食材から摂取した葉酸は、小腸で「モノグルタミン酸型葉酸」に変化し吸収されますが、必ずしもすべてが活用されるのではなく、代謝などにより利用率が低下します。サプリメントなどに含まれる葉酸はすでにモノグルタミン酸型葉酸に加工されているため、効率よく体内に吸収されます。栄養バランスを考えた基本の食生活を大切にしながら、こういったサプリメントもうまく活用して、健康的なマタニティライフを過ごしましょう。


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