資産運用/資産運用をするときの鉄則

株と債券の値動きの違いを知ってこその分散投資とは?

株と債券はまったく異なる資産で値動きにも違いがあります。性格の違いや株と債券の相関関係を知り、適切な分散をすることが、安全な資産運用の基本となります。特に債券のリスクを正しく知りましょう!

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

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株と債券の違いとは

株と債券を使い分けることが、資産運用ではとても大事なことです。それは、株と債券はまったく違う資産だからです。異なる値動きをする資産群だからです。

基本的なお話ですのでご存知でしょうが、とても重要なところです。「株と債券」は何がどう違うのか?もう一度確認しましょう。
 

株式投資は収益を買うお金、債券投資は貸したお金

・株の特徴とは
株式は企業に対する出資です。将来の収益のために必要な資本として企業に投入するので、投資の成果として企業が収益をあげれば、株主配当を受け取る権利があります。企業価値が上昇すれば、株価が上がりますので、元本が成長しキャピタルゲインを得ることが期待できます。いわば、将来の収益(インカムゲイン+キャピタルゲイン)を受け取る権利を買っていることになります。

株式が債券と大きく異なるのは、どのくらいゲインするかは不確定であることです。確定していないということは、収益の上限が無限であるともいえます。元本部分の返還が約束されていない分だけ、成功したときに収益は大きい。それが株式投資のダイナミズムです。

・債券の特徴とは
債券は貸したお金に対する借用証書です。たとえば、日本国債を購入するということは、日本国政府にお金を貸し付けたことを意味しています。国債は、借り手である国が発行する借用証書です。貸したお金ですから、基本的には期限がくれば返ってきます。貸しているお金なので、利子がつきます。

ほとんどの債券は、購入した時点で受け取り利子の確定している金融商品です(個人向け国債のうち、「変動10」は変動金利の債券なのでこの例外です)。
 

金利上昇時に上がる株式、下がる債券

株式は、金利上昇時には高騰することが一般的です。

ただし、「金利が上がるから株式が上がるのか?」「株式が上がるから金利が上がるのか?」「景気が良くなるので金利も株価も上がるのか?」は、そのときの経済情勢によります。そのメカニズムはすべてが解明されているわけではありません。

金利と株価にはある程度の相関関係がありますが、過度の金利上昇は株価下落につながることが、過去の経験で分かっています。

債券は定期収入(インカム)が確定している商品ですが、償還期限前に譲渡しようとすると時価で売ることなり、元本を下回ることがあります。基本的には、市中の金利が上昇すれば、すでに発行されている債券(既発債)の価格は下がります。なぜなら、新しい債券でもっと利回りの大きいものが売られているからです。

元本償還の期限前に債券を換金したい人は、利回りの高い新しい債券よりも条件を良くしなければ売れませんので、債券価格を下げるしかありません。こうして金利上昇により債券価格が下がることを、債券の金利上昇リスクといいます。

金利上昇リスクと共に重要な債券のリスクは、信用リスクです。債券のリスクをきちんと把握したうえで、分散投資をすることが賢明です。次に、債券の信用リスクをご説明します。
 

利益の確定している債券にもリスクはありる

一言でいえば、株式はハイリスク・ハイリターン、債券はローリスク・ローリターンです。また違う言い方をすれば、株式は将来の不確定な収益に期待しており、債券は確定した収益を期待しています。

このように表現すると、株式は危険で、債券は安全というパターンで受け取られがちですが、実際のリスクの大きさは個々の銘柄の問題となります。20世紀の100年間を通して一番安全だった資産が株式であることは、専門家であればだれも否定できない真実です。株式が債券より常にハイリスクだとは言い切れない複雑さが経済の世界には存在しています。

危険と思われがちな株式が超長期では実に安全であった反面、債券にも思わぬリスクがあります。

債券投資とは、他人にお金を貸す行為であり、期限が到来すれば元本が返ってきます。しかし、そう言い切れるのは、借り手が期限まで健在の場合です。万が一、借り手が返済期限前に倒産したり、破綻したりすれば、残念ながら投資元本は返ってきません。

それが、債券投資のデフォルト(債務不履行)と呼ばれる事態です。過去には、アルゼンチン国債、ロシア国債、ギリシア国債などでその実例がありました。企業でいえば、アメリカのエンロンや日本の日本航空などが焦げ付いてしまった債券発行体です。投資家は大きな元本割れを経験しました。

このリスクを信用リスクといいます。債券の信用リスクは、信用格付けによってチェックすることができます。スタンダード&プアーズやムーディーズのような第三者の中立的評価機関が定量的に評価して発表しています。

信用格付けの最高位はAAAで、以下AA、A、BBBと表示され、BB以下を「投資不適格」と呼びます。格付けが下がるほど(信用リスクが高まるほど)、配当利率(インカム)が増えるので、高利率の債券には注意が必要です。信用リスクを把握して銘柄を見極める必要があります。

債券投資といえども、常に安全ではないことと、金利上昇時にはまた異なるリスクを抱えることとなるので、債券投資には次のような注意が必要です。

債券投資のチェック項目
・投資先が健全であるかのチェック
・将来の金利動向に対する見通しを立てる
・投資期間と償還期限が合致しているかをチェック

株式と債券は、まったく正反対の金融資産です。その人の期待収益率に合わせて、その配分比率を決める必要があります。

また、あなたのリスク許容度に応じた配分比率を決める必要があります。リターンとリスクは正の相関関係にあるからです。

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