なぜ金利と債券価格は逆に動くのか、基本を確認しよう

なぜ金利と債券価格は逆に動くのか、基本を確認しよう

債券とは、一般的に固定金利です(日本の個人向け国債は特殊な金融商品なので、末尾の補足説明をご参照ください)。それに対して、市中の金利は毎日動いていますから、変動金利です。債券の固定金利と市中の変動金利のギャップを解消するのが、既発債券の価格変動です。

つまり、金利が固定されている債券が、変動する市中(流通市場)で流通していくために、債券自身の価値を変えていくということです。債券は100円で発行されますが、発行されてから満期が来るまでの間に、99円になったり、101円になったりします。その値動きには法則性があります。

実は、債券価格は、市中金利に対して逆に動くのです。

金利と債券価格は逆に動く?

逆に動くとは直感にそぐわないと思われるかもしれません。果たしてなぜなのでしょう?

債券価格が一律で発行される発行市場に対して、発行後に自由に売買されるのが流通市場です。流通市場で債券価格が金利の影響を受けるメカニズムを簡単にご説明しましょう。

たとえば、元本100円で利率1%の債券を買って持っていました。あと5年で償還される債券です。事情があって、償還を待たずしてすぐに売らなければならないと想像してみてください。

その時に、市中では金利が上昇して新しい債券が2%で発行されていたとします。新発債の買い手は、5年あれば元本100円の5年分の利子10円(2X5)を受け取れるわけです。そういう好条件が発行市場にはあるのに、わざわざ1%の利率しかないあなたの債券を買おうとする人はいないでしょう。せめて、同じ条件にしなければ、明らかに不利なのですから。

高金利の新発債と同じ条件にするには、本体の価格を下げなければなりません。5年後に新発債と同じ収入10円を得るために必要な取得価額は95円です。
100円の利率1%の利子5年分と元本の償還を足した105円から、10円の収入を得るためには、仕入れは95円である必要があるからです。

ということで、金利が上がったので債券価格は下がりました。厳密には、流通市場で決まる売買価格は市中金利の影響だけでなく、表面利率、残存期間の長短、債券発行体の信用力などの影響を受けて変わっていきます。また、先ほどの試算では分かりやすくするために割引率を見ていません。現実は、もう少し複雑な影響を受けますが、金利と逆方向に動くことには間違いありません。

大震災後の債券上昇

東日本大震災以降の日本の債券先物価格と長期プライムレートの推移を振り返ってみましょう。

大震災直前の日本国債の新規利回りは1.255%(新発10年国債利回り)でした。それが、大震災以降下がっていきます。
1.255(3月) → 1.20 → 1.15 → 1.13 → 1.08 → 1.03%(8月)

このように金利が下がっていくときに、長期国債の先物価格は次のように推移しました。
139.19(4月) → 140.10 → 140.54 → 140.95 → 141.78 → 142.52円(8月)

間違いなく、金利が下がるときに債券が上がるという、逆向きの動きを示しています。

個人向け国債は例外的商品

ところで、個人向け国債のことを詳しく知っている人は、ここまでの説明に違和感を持ったかもしれません。個人向け国債はまったく異例の金融商品なのです。

・固定もありますが、変動金利もあります。
・一定期間経過後に、国が発行価格で買い取ってくれます。

ですから、変動金利型を持っていれば市中の金利動向を気にする必要はありませんし、そもそも途中換金の仕組みが備わっているので、満期前に換金して元本割れを心配する必要がありません。

これらは、一般の人が国債を買いやすくするための、優しい例外です。本稿でご説明した金融市場の法則とは無縁の特別に保護された世界であることを最後にお断りしておきます。
※その後売り出された新窓販国債とは、前ページで解説した通りの債券です。つまり、満期前に売ろうとすれば、金利上昇なら損をして、金利下落なら得をします(国の買取がないからです)。

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