統計の取り方から来る結論の違い
「長期投資はリスクを減らさない」といったときの、説明資料(投資期間とリターンの関係)は、無作為に抽出された株式グループの経年推移をグラフにしました。良い株式もあれば、悪い株式もあるので、良いものはより良くなり、悪いものはより悪くなるという結果がでます。その差は拡大していきます。
同じように、優良企業と零細企業の差は、いつになっても縮まりません。したがい、長期投資が良いとは言い切れないことを裏付けます。
一方で、「長期投資はリスクを減らす」といっているときの根拠は、すべての株式の平均値やある市場の株価指数です。悪い企業は淘汰されていきますから、悪い株式は退場し、良い株式は、より大きな比重を占めるようになります。
平均値や市場指標でとらえれば、株価は常に右肩上がりです。ロングスパンで考えるほどに、株価の上昇は力強い右肩上がりになりますので、株式は長く保有するほど、収益は大きくなるという結論が得られます。
優良企業と零細企業の差は縮まりませんが、国の経済力やGDPは確実に上昇していきます。調査対象を世界まで広げれば、なおさらです。価値は増幅し、富は拡大しています。ですから、長期投資は平均的な収益を投資家に与えてくれます。
ここで、学界のような議論をしても意味がありませんので、一般の方がこうした混沌をどう受け止めるべきかのアドバイスを最後にいたします。
ひと言でいえば、合理的な投資方法を長期間続けることが、ベターです。あるいは、お金が必要となるときまで信念を持った投資を続けてくださいと申し上げたいですね。
世の中には、そう行動されると困る業界がせっかちな投資をあおる風潮があるから、余計にご用心です。
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