国の年金について不安を訴える人が増えています。一部の極論のように、私は国の年金制度がつぶれることはないと思います(国がつぶれたのなら別ですが、そのときは年金制度どころの話ではないでしょう)。
ただし、ほぼ間違いないのは「年金水準は下がる」ということです。それでも制度はなんとか維持しようというわけです。そういう意味においては国の年金だけには頼らない老後資金準備を考えなくてはなりません。
とはいえ、「生きている限り、10年でも50年でも、一定額を支給し続けてくれる国の年金の役割は重要」なことは変わりありません。仮に貯金が底をついても、個人年金の支払期間は終わってしまっても、国の年金は毎月死ぬまでもらうことができます。これはすごく助かることです。
生活の基礎を安定的に支えるのは国の年金であることは変わりません。確かに負担も大きい制度ですが、その分、自分で備える分は楽になっている、と考えることが大切だと思います。普通の会社員にとって、老後の資金を全額、自分で備えるのはほとんど不可能だと思います。
しかし、すでに明らかになっている問題があります。それは「国の年金は65歳からしかもらえなくなる」ということです。すでに国民年金については65歳から受給開始です。会社員が入っている厚生年金については、60歳から受けられる特例がありましたが、これも順次廃止されています。
一般的な会社員の場合、男性で1961年4月2日、女性で1966年4月2日生まれ以降の人は65歳まで国の年金はゼロです。少し早く生まれている人も63ないし64歳まではゼロです(詳しくは 年金→「65歳まで年金がないって本当!?」を参照して確認しておいてください)。国の年金はもう、65歳までは当てにならないと考えてください。
つまり、「60歳から65歳までの5年間」については、100%自分で資金準備をしなくてはならない、ということです。仮に1年を400万円で過ごすなら、5年間で2,000万円! 年間500万円だったら2,500万円必要になってきます。ヘタすれば中古の家が一軒買えてしまうほどの、くらくらする金額です。
今、45歳前後の人にとっては、老後の資金準備は(1)長い生涯にわたって国の年金プラスαの備えと(2)60歳代前半の備え、という2方面の備えが必要になってきているのです。
CHECK POINT |
・国の年金は水準は下がるだろうが、生きている限りもらえる ・国の年金だけでは足りない不足分を老後資金準備で補えばいい ・国の年金は原則として65歳からしか受けられないようになった ・60歳代前半の老後資金準備は100%自分でしなければならない |