45歳前後の世帯の話を聞くと、「今は何かと支出がかさむからあと5年くらいしたら考えるよ」という声を聞きます。しかしそれは大きな過ちです。「あと5年たったら楽になるわけではない」からです。
子どもの教育費のピークは、高校と大学に通うことになる最後の7年間にやってきます。たとえば、35歳で生まれた子どもが順調に大学を卒業するのは57歳ということです。そうすると学費のピークは50歳から57歳までの間、ということになります。
子どもを30歳代に作った家庭では、定年退職直前まで学費負担が生じることになります。従来だったら通用した「子どもが卒業したら学費分を老後のために積立ておく」という方法は、こうした家庭では通用しません。学費も負担しながら自分の老後のことも見ておかなければならないわけです。
住宅ローンだって、ほとんどの家庭では定年退職まで返済計画を残すところが多いのではないでしょうか。退職金で完済してしまうプランを立てているとしたら、住宅ローンの返済は定年退職までずっと続くことになります。
結局のところ、ほとんどの世帯において、40歳代、50歳代は支出のピークを迎える時期です。入学金その他の支出がかさんでしまい、単年度では収入を支出が上回ることもあると思います。
しかし、このしんどいときに少しずつでもいいので、老後のお金の準備を始めておいてほしいのです。というのは、同じお金を準備するにしても、準備期間として10年と15年の違いは大きいからです。
仮に1,000万円を60歳まで貯めたいとして、税引き後利息0.5%の運用を仮定します。45歳から始める場合、毎月必要な積立額は53,510円ですが、50歳から10年で貯めようとすると、毎月81,285円も必要になります。一回当たりの負担は5割も増えてしまいます。もっと利息がつく時代に戻れば15年計画のほうがかなり負担は楽になります。
老後資金準備のスタートは遅くても45歳! それくらいの心構えがないと準備は間に合わないのです。
CHECK POINT |
・40~50歳代は支出のピークになる ・老後の資金準備は45歳でスタートさせておきたい ・早めにスタートさせておけば、負担は楽になる。 |