生涯独身は生涯コストで損か得か?
ところで、生涯独身を決めた男性は、生活コストの面からみるとかなり有利といえます。一般に男性は稼ぎも高く、それを自分ひとりのためにだけ使えるわけですから、ゆとりが出るのは当然かもしれません。おおよそ大卒男性の生涯賃金は2億9千万円とされていますので、これをすべて自分で使うことができるわけです(→労働政策研究・研修機構HP)食費も、服代も、趣味にかけるお金も自分の分だけですみます。妻や子どものためにお金をかける必要はありません。当たり前の話ですが、自分1人分の出費しかかかりません。子どもひとりの教育費(高校から大学)だけでも1000万円はかかるといいますから、その分を負担せずにすみ、自分にかけられるのは大きなメリットです。
自分の時間はすべて自分の自由になりますし、自分の稼ぎも自分の生活の満足のためにすべて使えるわけですから、一般的に生活水準は独身者のほうが夫婦(子持ち)より高くなる傾向にあります。欲しい家電やソフトもいつでも買えるし、行きたいところにはいつでもでかけられるという案配です。ただし、ゼイタクが過ぎるといくら稼いでもまったく貯金できない状況になるので要注意です。
一方で、1人分しか稼ぎがないということは生涯独身で暮らしていく人のウイークポイントになります。夫婦であれば、男性の稼ぎだけで家計が厳しいときは、女性も働くことで年収を50%増やすことも可能です。2倍にできることもあるかもしれません。しかし、1人で年収を5割増しに増やすのは容易ではありません。また、病気になったり、会社が倒産したときなど、所得が減ってしまったときの対応力も夫婦暮らしのほうが強くなります。夫婦であれば、どちらかが倒れてもどちらかが働くことで何とかやりくりできますが、独身ではそうはいきません。自分を支えられるのは自分と自分の財産だけ、ということになります。
独身ライフの場合、メリットもあれば、弱点もある、ということはきちんと理解し、弱点に備えていくことが必要になってきます。特に経済的な不安を解消しておくことがポイントになってきます。また、もう一つ独身ライフには、大きな弱点があります。それは「年金生活」の不安です。
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