自分ブランドが重要な時代になる
自分ブランドを手に入れた人は、自分らしい生き方と自由を手にすることができます |
昨今、企業業績の回復を背景に、転職マーケットが活発になっています。ということは、「人材」という商品が数多く世の中に出回るということです。そうすると、人材を雇う側も、バッグを買う人と同じように、誰だって粗悪品を掴みたくはないですから、しっかりとした実績を出したことのある人材を優先的に選択するようになります。
その結果、いわゆるブランド力のある人と、ブランド力のないその他大勢の人たちとの差が、はっきり出るようになります。ブランド力のない人は誰からも振り向かれないし安く買いたたかれる。古くなったら捨てられる、という処遇に遭ってしまうリスクがあります。しかしブランド力のある人材になれば、あちこちから引っ張りだことなります。
例えばタイガー・ウッズやイチローを始めとするプロスポーツ選手はもとより、マドンナやビートたけしといった芸能人、ビジネスの世界にもカルロス・ゴーンや大前研一などは、個人としてはトップブランドを持っています。誰もが彼らを知っていて、誰もが彼らにあこがれます。誰もが彼らに会いたいと思うし話をしてみたいと考えます。テレビ出演や広告宣伝、原稿執筆の依頼が引きも切らない。講演に呼べばその講演料は、1回数百万円はくだらないという状況です。
もちろんこうした超有名人だけではありません。一般人でも、ブログから有名になったり、投資で儲けてマスコミの取材を受けるようになった人も数多くいます。
ブランドは高付加価値の証
ブランドを築いた個人は、苦労して営業活動をすることもなく、価格競争に巻き込まれることもなく、自分のビジネスを有利に展開できます。売り込まなくても、客は向こうからやってきます。こちらから売り込んだら普通は「もう少し安くならないの?」と言われますが、向こうから依頼してくる場合、価格交渉は失礼だと思って値切ってきません。それに、断られたら代わりになる人がいないので、むちゃな要求もしてこない。また、彼らは新たなビジネスチャンスに恵まれます。なぜ芸能人が化粧品や宝飾品の企画をできるのかというと、その芸能人が持つセンスや能力を企業が欲しがり、共同開発を持ち込むからです。同様に、有力なビジネスパーソンのところには、いろいろな企業の担当者が、提携の企画を携えて日参するのです。
ブランドをつくるのは口コミがメインですが、そうした評判が伝わる速度も範囲も影響力も、ネットの普及によって加速されるようになりました。そして、あらゆる分野で「○○と言えば彼(彼女)」と自分のブランドで仕事をする人が増え、そうした人たちの「一人勝ち現象」が起こるようになっています。
スペシャリストが強い、プロフェッショナルの時代、グローバル人材にならなければ・・・などといろいろなことが言われていますが、「勝ち残る」という視点で働くと、すり減って疲れるだけです。考え方を転換して、「自分ブランドを創って自分の価値観を大事にする」という視点で仕事を捉えてみてはいかがでしょうか。
「そうは言ったって、やっぱりビジネスの世界は生き残りをかけた戦いじゃないか」と考える人もいるでしょう。
もちろん、ビジネスの世界ではそういう側面もあります。シェア争い、コンペ、入札、こういうものは勝たなければなりません。しかし、個人個人の人生という視点で見ると、自分にしか生み出せない価値、他者とは全く違う価値を提供できる人材になれば、競争とは無縁の環境を創り出すことも不可能ではありません。
自分ブランドとは自由と自分らしさを得る手段
自分ブランドを創るということは、自由を得て、自分らしく生きるための方法論です。トップブランドの芸能人や名経営者だけではなく、もちろん普通の会社員であっても可能です。会社員がブランドを築くと、自分の思い通りに仕事を進められるようになります。他の誰もがあなたの能力を認め、信頼してくれるからです。上司も「任せるから好きなようにやれ」となります。年俸や昇給の交渉が楽になります。新規事業などのチャレンジングな仕事に抜擢されやすくなります。年齢に関係なく転職だってできますし、定年退職後も活躍できる分野が広がります。自由に働くことができる環境というのは、
「彼女に任せておけば大丈夫。」
「彼なら必ず何とかしてくれる。」
「君に全て任せるから、好きなようにしなさい。」
「予算も部下もつけるからウチに来てくれ。」
「辞めたい?カネか?給料は1.5倍出す。マンションも会社で借り上げるから考え直してくれ。」
「え、今の会社辞めたいの?じゃあ、すごい会社があるから紹介するよ。」
という状態になることです。こういう状態にできれば、事業家はもちろん、たとえ雇われの身であっても、まさに自由。だから、あなたもブランドを持つ人材になろう、と言いたいのです。
もう雇用形態・就業形態は関係なくなる
フリーターであろうと、派遣社員であろうと、ニートであろうと、主婦であろうと、自分ブランドを創って高めていくことは十分可能です。マーサ・スチュワートはもともと主婦ですし、投資家や情報起業家として有名な人の中には、元ニートという人もいるのです。自分のブランド化ができれば、働き方やどこに所属するかなどは関係なくなるのです。しかし、こういう状態になるためには、周囲からの絶対的な「信頼」を得ることが必要です。その信頼の積み重ねが「ブランド」になっていくわけですから。
昨今は、パーソナルブランディング、自分マーケティング、自分ブランドという言葉を聞く機会も増え、個人ブランドが重要な時代であるとの認識は高まっています。実際、多くの人が「聞いたことある」と感じるでしょう。しかし、その本当の意味合いや、具体的方法論を考えたことがある人、そして自分ブランドをつくるための行動を何かしている、と答えられる人は極めてまれです。