不動産を買うとは「街を買う」ことと同義
これから衰退する、あるいは発展しない街の不動産を買っても、資産形成という観点からは損するのみです。ですから、街が形成されてきた歴史や、どんな人が住んでいるかを見極めてから買わないと、自宅を買ったがために負け組に転落する、という自体に陥ってしまいます。それがローンを組んで買ったとしたら、もう立ち直れません。ですから、不動産を買うとは「街を買う」とイコールです。不動産を経済的価値のある資産としてフル活用したいなら、賃料も価格も高いエリア、高額所得者が好んで住むエリアを買うことです。でも当然価格は高い。でもそれがムリなら、まだ家を所有する時期ではないと考えるか、不動産を資産として活用することはあきらめるしかありません。
しかし低所得者は、「自分の収入で買える価格帯」で探そうとするから、どうしても郊外になってしまう傾向にあります。同じように考える低所得者は多いですから、郊外は低所得者が集まることになります。そんな低所得者がばかりが集まる街の不動産が、ほんとうに資産として価値を持つのでしょうか?高い家賃で貸せるでしょうか?高い値段で売れるでしょうか?それに、低所得者の集まる学区での子育ては、子供にどういう影響を与えるでしょうか。冷静な人なら峻別は容易でしょう。
「経済力のある人が集まる街にある不動産」こそが、資産価値があるのです。逆に言うと、低所得者ほど資産価値が下がっていく新築マンションや一戸建てを買ってしまう傾向があるのです。
東京の不動産が人口が減っても資産価値が下がらない理由
需給バランスで資産価値を見るには、人口よりも世帯数です。たとえば同じ世帯の中で子供が生まれても、人口は増えますが世帯は増えないので、住宅需要にはつながらないのです。仮に今の家が手狭になって、広い家に引っ越したとしても、住宅ニーズが1件増える一方で、一件減るわけですから、プラスマイナスゼロとなるわけです。日本の人口が減少しようとも、人の移動によって偏在が起き、集中が起こる。つまり全体が減っても特定のエリアは人口が増えるということになります。人口が増えれば資産価値が上がるというのは、短期的には起こっても、長期的に維持できるかどうかは、街の形成過程を見なければわからないのです。
つまり、家を買うときは、「投資物件を買う」視点で選ぶ必要があるということです。
結婚を機にとか、出産を機にとか、そういうイベントに合わせて家を買おうとすると焦って粗悪物件をつかんでしまいます。不動産を買わなければならない期限なんてないのですから、もっとどっしり構えてゆっくり選びましょう。
かつて、老人の一人暮らしはなかなか賃貸できる物件がなかったため、持ち家を買うことは老後の安心を買うことでもありました。しかし今は時代が変わり、保証人がいなくても借りられるし、供給過剰に加え人口減少で空室が増えたため、単身の老人でも賃貸を借りやすくなってきました。つまり住居の前提条件そのものが変わってきていますから、所有することには、昔ほど必要性は低いのではないでしょうか。
もし土地勘のない初めての土地なら、そこの賃貸に一定期間住み、住み心地や環境を確認してから買うようにしましょう。
あるいはもう一つの選択肢、中古物件を買う、という方法です。
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