Mac OSの使い方/Mac OS 関連情報

「Macを使う」という安心感(3ページ目)

2009年最初の記事は、Mac OS Xを使うことへの安心感について紹介する。

木下 幹司

執筆者:木下 幹司

Macガイド

異なる画面表示で同じ結果を提供するMac OS X

フォトレタッチソフトで画像を編集し、ネットで公開したら色が変わっていた……なんてことは、Mac OS Xを使っているうちは経験しないだろう。しかし、Windowsを使っているとそういう場面を目にすることになるかもしれない。

●同じ画像を同じ表示にできない場合があるWindows
//pro-aa.s3.amazonaws.com/aa/gm/article/8/0/9/7/4/win_image_sync_no2.jpg
Adobe RGB(1998)というカラープロファイルを適用した画像を、PowerPoint 2007に貼付けた結果と、Windowsフォトギャラリーで開いた結果。Windowsフォトギャラリーの表示のほうが正しい

上の画像は、Windows上で異なるアプリケーションを使って同一の画像を開いた結果である。わかりにくいが、左のアプリケーションでは色がややくすんだようになっている。
JPEGやPNGなどの画像データには、カラープロファイルと呼ばれる色の設計図を持っていることがあるため、アプリケーションがその情報を正しく処理しないと上記のような現象となってしまうのだ。

●同じ画像は同じ表示となるMac OS X
対するMac OS Xでは、ほとんどのアプリケーションで同一の表示が行われる。これは、システムレベルでColorSyncというカラーマネージメントシステムが適用されるためで、ユーザーは画像データに固有のプロファイルが割り当てられていることを意識することは必要ない。
とにかく、色についての技術的なことはわからなくても、作成した側と同じものを見てもらえるというのは、あたりまえのことであり、とても重要なことではないだろうか?

問題は、Mac OS Xで作成した画像をJPEGなどにしてWindowsユーザーに見せる場合だが、プレビューを使う場合なら「ツール - プロファイルにあわせる」を実行し、「カラーモデル:RGB、ColorSyncプロファイル:一般 RGB プロファイル」として保存するか、Photoshopならば「Web用に保存」というコマンドを使うといいだろう。
//pro-aa.s3.amazonaws.com/aa/gm/article/8/0/9/7/4/mac_image_yes.jpg
プレビューの表示とPowerPoint 2008の表示にもカラープロファイルが適用されているため、表示は同じになる

統一された規格によりどのアプリケーションの印刷結果も信頼できるMac OS X

カラープリンタを使った印刷というのは、どうやってもプリンタ機種やインクの状態によって色合いが変わってしまう。しかし、同じデータで同じプリンタなのに印刷するアプリケーションを変えただけで印刷結果まで変わるのはなんで?……なんてことはMac OS Xでは起こらない。

●アプリケーションによって異なる印刷結果になるWindows
Windowsアプリケーションを作る場合、印刷機能を完璧に実装するには、以下のような種類の出力形式をサポートしなければならない。しかし、実際には対応するためのコストが膨大にかかるため、GDIプリンタにのみ対応しているアプリケーションがほとんどだ。

【Windowsがサポートするプリンタドライバの種類と特徴】
  • GDIプリンタ …(GDI関数しか受け付けないプリンタ。カラーインクジェットプリンタなどでWindows用のドライバはほとんどがこのタイプ。GDI+で追加された命令も受け付けないため、OpenTypeフォントのレイアウトやカラーマッチング、半透明表現などができない)
  • PostScriptプリンタ …(PostScriptというコードによる印刷をサポートしているプリンタ。パススルーという方式を使って、アプリケーションがグラフィックをPostScriptに変換して出力すれば、プリンタ側がそのPostScriptを解釈して印刷する)
  • XPS …(WindowsVistaからサポートされた形式。PDFによく似ており、XPSで印刷するためにはXPSに対応したプリンタ、またはプリンタドライバが必要。なお、WindowsVistaではXPSをGDIに変換する機能も内蔵しており、アプリケーションからXPSに出力した結果をXPSビューアを使って印刷したほうが、アプリケーションから直接印刷するより美しい場合もある)

GDIプリンタでは印刷できないGDI+のグラフィック機能も画面表示では使用されていることが多く、ほとんどのWindowsアプリケーションは、すべてのグラフィックをイメージデータに変換するなど、印刷時にGDIで処理できるレベルに落として処理している。このために品質が変化するだけでなく、メモリ不足になったり印刷処理が遅くなったりすることも少なくない。
//pro-aa.s3.amazonaws.com/aa/gm/article/8/0/9/7/4/print_image_win.jpg
半透明などのGDI+のグラフィックを無理矢理GDIで出力しようとすると、いろんな問題が発生する。上図はPDFの場合だが、右ページはグラフィックがイメージデータ化されてしまい、色が変わったり、文字が太くなったりしている


●シンプルな構造で安定した品質のMac OS X
これに対してMac OS Xでは、アプリケーション側からみた出力方法はPDFだけ。Mac OS Xの画面表示はディスプレイポストスクリプトで構成されるため、開発者は印刷処理を作るときプリンタに対して画面表示とほとんど同じ処理を行えばいい。出力したPDFはMac OS Xに内蔵されているcupsというシステムを使って各プリンタのコマンドに変換される。

このようなシンプルな仕様のため、Mac OS X用のアプリケーションならどれでも同じように印刷機能が実装されている可能性が高く、安心して印刷できるのだ。
mac_print_pdf.jpg
Mac OS Xの印刷結果はPDFをプレビューで表示したときとほぼ同じと考えていい。半透明の重ねがあってもイメージデータ化されないので、正しい色と文字で表示される。ただし、Mac OS X用のAcrobatReaderで上図のPDFを表示すると、はWindowsと同じ表示になる。これはWindowsとの互換性を配慮してのことだと思われる。(画像は見開き表示するため3ページ構成に加工しています)

※今回のテストで使用したPDFをダウンロード




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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※OSやアプリ、ソフトのバージョンによっては画面表示、操作方法が異なる可能性があります。

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