鹿児島と宮崎の湯3
大隅半島の中にある、小さな温泉群を廻ります。鹿屋市には驚くべき濃度の重曹泉があり、つるつるの感触で驚きました。また小さな秘湯も趣のあるもので地元で大事に使われていると言った感じです。志布志の安楽温泉や小平温泉は赤い炭酸鉄鉱泉で個性的でした。
7 小平温泉
単純泉(炭酸鉄泉系)で茶褐色(15センチ)弱炭酸渋味、少金気臭のもの。炭酸の味覚が源泉ではわかる良好なものであるが、鉄は薄い。総計816 CO2 441にて規定。Fe 6.4 HCO3 241 のもの。小さな温泉で男女別のステンレス浴槽が各1つの簡素な施設が好感した。源泉蛇口自在なのは嬉しいもの。坂元より赤が薄いが3連続の色付き温泉であった。
8 養老の滝温泉
含CO2土類重曹泉の16度。総計2722の立派な分析内容であるが 透明、無味、無臭である。加水か枯渇かは不明であるが CO2 1409 Fe 11.5 Ca 76 HCO3 814などを見ると、恐らく源泉は山鳩湯や二股ラジウムを彷彿とさせるものと推測され残念であった。
9 ゆたか温泉 (掛け流しでは重曹泉日本一か?)
朝から連続の湯巡りのためか、一般的日帰り温泉施設の特に印象に残らない外観なので、あまり期待せずに入るが良い温泉のもつ感触が一瞬でわかり驚く。長湯の或る温泉のときも同様だったが飲泉や嗅覚に訴える前に身体全体から良い湯が伝わってきた。そのような一瞬で感触できる物はそうとう少なく名湯であろう。総計14530 の含食塩重曹泉で43.8度。Na4117 Cl 2768 HCO3 6735 の値は重曹泉全国ベスト5に入る濃厚なものであった。表層水に薄められることなくこのような濃さで重曹泉が現出していることが貴重である。CO3から来るあっさりとしたぶどうの内皮のようなとろみではなく、濃度のある重曹による粘りのあるとろみがあり「つるつる強し」のもの。透明、純な重曹味+少塩味、無臭であった。この湯を200リットルの浴槽で実際に入ろうとすれば入浴剤で言えば2缶、2730グラムもの重曹と塩をどっさりとも入れなくてはならないが、そんな湯が実際に地中から湧出していることに驚く。目の醒めるような温泉に巡り合えて温泉巡りの醍醐味を味わった。
10 鹿屋市内温泉 ホテル太平
ここもゆたかと同系のものであるが一般的な数値で総計3544の純重曹泉しかし塩化物イオンが少なく純度が高いのでつるつるやや強しの感触である。35.8度でやや加熱されているが満足のいくもの。
11 大谷洞温泉
規定外の鉱泉であろう透明、無味、無臭のもの。Ca 83.9という張り紙のみある。小さなタイル貼り浴槽1つの施設。こういう山水を沸かしたような温泉施設に限って常連のおじいさんなどがここの湯は良く効くという話を耳にするが私はいつもそんなことはないであろうと思っている。
12 山寺鉱泉
小さな鉱泉、ほそぼそと営業されていて秘湯的佇まい。規定外の鉄鉱泉でFe2+3で4.5 透明薄い茶色、少渋味、無臭のもの。薄いながら個性は発揮されていて慈しみを感じた。