7年目を迎える
私房菜のパイオニア
こじんまりとした店構え、一度に数組しか入れない少なめのテーブル席、厨房の奥でシェフが腕を奮っている様子を眺めながら食事をいただく――そんなスタイルのレストランを、香港では「私房菜」(プライベート・レストラン)と呼んでいます。香港にはこうしたスタイルのレストランが定着し、こちらでも何軒か紹介したこともありますので、すでに行ったことがあるという方もいらっしゃるかもしれませんね。
「私房菜」ではアラカルトのオーダーはほとんどなく、その日のメニューはどの人も一緒というのが特徴です。アットホームでサービスも行き届き、リラックスした空間で食事を楽しめるのが、この「私房菜」の魅力と言えるでしょう。
質素でこれといった特徴がなさそうな店内ですが、7年間もの長きにわたって人々に愛されているのは、それなりの理由があるのです |
そんな「私房菜」の草分けといえるのが、2000年にオープンし、今年で7年目を迎える『イエロー・ドア・キッチン』。当時はまだ「私房菜」のようなスタイルはなじみが薄く、この『イエロー・ドア・キッチン』のようにひっそりとスタートした店ばかりでした。それがいつの間にかメディアに取り上げられるようになり、次々と後続店がオープン。今ではすっかり人気も定着しましたが、実はその陰で、継続できずにクローズしていく店がとても多いのです。看板や大々的な広告は出さず、口コミだけで人気が広がる「私房菜」は、生存競争も熾烈。本当に美味しい店、良い店だけが生き残っているというわけです。
人気が続く
その理由とは?
「私房菜」の業界で7年ものあいだ不動の人気を誇っている、この『イエロー・ドア・キッチン』。
文筆家でもあるオーナーのラウさんが開いたこのお店は、四川料理をメインに、上海料理を織り交ぜた伝統的な料理を提供しています。シェフは四川出身の女性ですから、まさに家庭の味が堪能できるホームスタイル・クッキング。素材や味にこだわり、化学調味料は一切使わず、店が入居するビルの下に広がる市場で、毎日新鮮な食材を手に入れています。
7年間も人気が続いている理由を、ラウさんに代わって、店を仕切る息子さんに聞いてみると、「プライベート・レストランは、料理の腕、サービスがいち早く口コミで伝わります。気が抜けないし、意外に繁雑な業務が多くて、なかなか少人数でこなすには大変。それにマーケティングも必要です」とのこと。やはり、経営には厳しいプロの腕と目線が必要なようです。繁盛しているプライベート・レストランには、理由があるのですね。
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