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離婚、失明の危機…思い通りにいかないのが人生! 40代で写真家を目指した女性(2ページ目)

日本では養護学校の教師をしていたにもかかわらず、アートを追い求めるために40代でNYへ渡った写真家(アーティスト)にインタビュー。

執筆者:溝口 弘恵

死ぬときに後悔しないよう、やりたいことをやる!

Title : Green Line ©Teiko Dewa
Title : Sunset ©Teiko Dewa
「その時私は40歳、人生は半分残ってるけど、人生短いんだ。本当にやりたいことをやらないと死ぬときに後悔するぞ!って。ただし、やりたいことをやるっていうのは、気ままにやるっていうことではなくて、自分が心を開くことによって、どう世界の役に立てるのか、ということのような気がします。

私には小さいときからイメージで表現することへのつよい願望がありました。それが障害児と過ごすうちにテーマとして芽生え『身体感覚は、どのように脳や体の中で処理されているのか』、具体的にいえば、『人間はどうやってものを見ているのか。目で見ること以外の触った感じやにおいなど、体から感じるなにかをイメージとして表現できないのか』ということでした。その媒体が、その時趣味でやっていた写真だったんです。

芸術写真をやるなら、歴史のあるNYかパリに行こうと決め、やはり語学の問題からNYの学校を選びました。フォトグラファーの学校インターナショナル・センターへ1年間フルタイムで通って、技術を身につけようと毎日午前9時から午後5時までびっしり、写真を本格的に勉強しました。私のテーマを表現するためには、プリントされたものが品質のよいものでなければ写真作品としてダメだと思ったからです」

一日中スタジオだから、ハーレムだろうと関係ない

彼女は、NYへ渡ると同時にハーレムに住んでいたという。生き馬の目を抜くどころか、生き馬の目をミンチにしてハンバーグで食べちゃうっていうほどのNYってだけでも尻込みする人がいるのに、地元民でさえ、あまり親しみのないハーレムに住むということに抵抗などなかったのか?

「ハーレムっていっても抵抗は、なかったですね。学校へ通う前から、いきなりNYへ来て泊まったB&B(ベッド&ブレックファースト)もハーレムだったし。今でもそこのオーナーとは友達なんですよ。その際には、大胆にも自分のポートフォリオをNYのギャラリーに持ち込んだんです。そこで作品が認められ、グループショーにも参加させていただいて、いきなり数点が売れたりもしました」

作品に対する情熱がみなぎっているので、そこから生まれる出羽さんの行動力もスゴイけど、作品以外の生活環境などといった細かなことを気にしないというのも、またまたスゴイ。一日中スタジオにこもってアートを追求してる彼女だからか、どこに住んでいても関係ないらしい。キッチンが暗室になってたり、寝る場所はスタジオの片隅にマットを敷いてと、まるで売れない芸人のワンルームみたいな状態。テレビもなければ、ラジオとインターネットだけが外界との接点なのだとか。

だからこそ彼女の作品は、うわっつらばかりの俗世間に流されず、排他的にさえ感じさせるものがある。文学にたとえれば、カフカの「変身」のようだ。生真面目に働き、両親を養っていた青年が、とつぜん醜い虫に変身してしまい、稼げなくなった彼は、家族からさえ厄介者となり、最後には死んでしまうというストーリーのように、どこかしら現代の人々の深層心理のエグイ部分を突いてくるという感じ。

「写真って、お金かかるんですよねぇ~これが。すべてのお金は写真につぎこむ。だから食事に出たりとか、飲みに行ったりなんていうことは、一切やらないです。ほとんど一日中、スタジオにいて作品をつくってますし。作品づくりに集中したいので、営業をやる暇もないし、資金をつくるのって難しいんです。

昨年の夏、パリの国立図書館に作品を持っていったところ、その場で6点購入が決まりました。その時、私のやろうとしていることをわかってくれる人はわかってくれるんだと、とても勇気づけられました。人類の文化活動を援助するという意味でも、私をサポートしてくれるパトロンが欲しい!これが現状ですね」

なるほど~結婚相手よりも、芸術を支援してくれるパトロンが欲しいとは、さすがアーティスト。それはそうとシングルでいることに不安はないのでしょうか?
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