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不況に強い宿の秘訣

この夏、全国的に旅行需要は低調。その中にあってもどんどん売れる観光地もある。果たしてその秘訣は何だったのか?

井門 隆夫

執筆者:井門 隆夫

旅館ガイド

不況でも売れる秘訣は「温泉力」。

熱海温泉
08年夏、新幹線で気軽に行ける熱海温泉は人気が復活した。
08年は、観光産業にとって「4年に一度の厄年」と言われる。厄年には必ず「サミット」「オリンピック」「総選挙」が重なる。4年前には、温泉偽装問題が発覚し、消費者の足が遠のいた。今年は、ガソリン高騰である。ご多分に漏れず、春先から全国的に客足が鈍い。安近短の傾向も確かにあり、この夏は熱海や鬼怒川といった「近くて」さらに「安い」温泉宿ばかりに人が寄り付いていると言われている。
しかし、とりたて安近短は「結果的にそう見えるだけ」の傾向だと思う。「今後買いたい商品」を調べても、「旅」という回答が多い。むしろ、今は、「強いて行きたいところがない」ので我慢している方が多いと思われる。
実際に、私がこの夏、全国をまわっても、たとえ遠くてもしっかりと賑わっている温泉地や観光地もあった。そうしたところにはある「共通点」がある。それを簡単にご紹介しよう。それは、これから流行る温泉地・観光地の共通点でもあると思われる。

砂むし温泉
「砂むし」は血液をサラサラにする効果があるという。程よい砂の重さが気持ちいい。
その第一は、「温泉力」である。「力」は「パワー」と読み替えても良い。申し訳ないが、そんじょそこらのスーパー銭湯に温泉力があるとは思えない。湯に力がみなぎっていなくてはいけない。
例えば、鹿児島県「指宿温泉」の「砂むし」。
後背地の火山帯から湧き出る化石海水がガスと分離して温泉となり、地下を流下し、海岸の砂浜を熱している。その砂を体にかけ、タオルでくるんだ頭だけを出す一種の天然サウナである。江戸時代から、脈々と続くこの湯治法を求め、全国からやってくる人が年々増え続けているのだ。
冷房が当たり前になり新陳代謝が悪くなりドロドロ血になった現代人の血を、砂むしは蘇らせてくれる(指宿白水館のサイトを参照)。指宿では、主要旅館のほか、日帰り施設の「砂楽」で砂むしの体験ができる。
指宿は、天璋院篤姫が生まれ育ったゆかりの地でもあることから、特に今年は町めぐりをする方々が多い。それを差し引いても、指宿温泉は、「温泉力」でじわじわと蘇ろうとしている。
そして、「温泉力」といえば、古くからの湯治場が、がんばっている。
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