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本膳料理という老舗スタイル~矢田屋松濤園(2ページ目)

06年再生旅館レポート第三弾。加賀・柴山潟畔の老舗旅館がモダンな雰囲気で再オープン!料理のテーマは江戸時代に遡った「立場料理」。

井門 隆夫

執筆者:井門 隆夫

旅館ガイド

コンセプトは「立場料理」

矢田屋松濤園
食事処の入り口で選ぶ(もしくは、食事中に籠盛りで運んできてくれる)その日の一品。
夕食は、食事処「八福神」で。
「七でなくて八?」と聞くと、「八人目はお客様です」とのこと。
食事処のロゴをよく見ると、神様は八人いますよ、八人・・・。
まあ、そんな会話が飛び出すようにか、館内はここかしこに、縁起物と呼ばれる物がところどころに置いてあります。旅人として、福を授かりましょうか。
さて、お待ちかねの食事。食事処の入り口には、魚菜が盛られたショーケースがどんと置かれ、ここで気に入れば好きな一品を献立外で注文できるそうです。
私が選んだのは、「めぎす」と呼ばれる雑魚。から揚げがうまいと聞いたので、じゃあ、それ、と頼んだのですが、これが絶品!。うまいものは、どこにころがっているかわかりません。
矢田屋松濤園の料理は、むかし、宿場と宿場の間にあり、旅人にその日、港や畑で採れた産物をふるまった「立場(たてば)」料理がコンセプト。なるほど、先ほどのショーケースもその一環ですね。

矢田屋松濤園
能登の棚田米「神子原米」が供される本膳一の膳。
料理の最初に供されるのが、本膳一の膳。室町時代以後、儀式料理として確立した「本膳料理」の最初の膳を模したお膳が出されます。加賀や能登地方の産品が一汁三菜として並びます。旅人を招き入れた立場ではこんな料理が出されたのでしょうか。
その後、乾杯を経て、酒菜が始まります。
しかし、ここまで、見事に土産土法にこだわった料理もなかなかお目にかかれません。全国のうまいもの、ではなく、加賀地方の旬の産品だけを使った料理。一見すると地味ですが、老舗のこだわりが感じられます。
食後は、ロビーに戻り、ジャズにひたりながら、山崎のロック。
さあ、もう一風呂、浴びてきましょうか。
矢田屋松濤園が建つ片山津温泉は、昭和の一時期、派手な宴会で盛り上がった頃がありました。宴の夢も覚め、矢田屋の再生をきっかけに周辺の旅館の再生ムードが一気に高まりつつあります。
06年7月には、旧・矢田屋梅光閣が、加賀観光ホテル別館「季がさね」として、オープン!
こちらは、露天風呂付きのお部屋がある、現代風のお宿ですね。そのほか、これからも新しい旅館再生の話がちらほら。地域・旅館再生のモデル地域としても、ますます注目したい温泉地です。


矢田屋松濤園
住所 石川県加賀市片山津温泉セ1-1
電話 0761-74-1181
地図 Yahoo!地図情報
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