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際・プロデュース旅館が雲仙に誕生~富貴屋

06年再生旅館レポート第二弾。日本初の国立公園「雲仙」(長崎県)。それぞれの個性化を目指し、温泉旅館の再生オープンが続く、注目エリアに行ってみた。

井門 隆夫

執筆者:井門 隆夫

旅館ガイド

話題の“キワ・プロデュース旅館”がもう一軒~「富貴屋

富貴屋ロビー
雲仙の「火」が暖炉に点る、落ち着いた雰囲気の富貴屋ロビー。
先日、ある仏人デザイナーの方が、「最近一番落ち着いた宿は、京都の柚子屋旅館」だと仰っていました。
その柚子屋をはじめ、レストラン業の枠を超え、旅館プロデュースまで手がけているのが際コーポレーション。専門の設計部隊を抱え、コンセプト決めから設計まで一貫して、独特のテイストのレストランを造るので有名です。
その、キワが、今度は、九州・長崎の温泉旅館のリノベーションを演出したというので拝見してきました。
島原半島の中央で、今なお噴煙を上げる普賢岳。その中腹の高原に、日本初の国立公園となった雲仙温泉があります。もともと、その昔、温泉をウンゼンと呼んでいたときの呼び名がそのまま地名となった古い温泉です。

富貴屋
硫黄の香りが充満し、噴煙たなびく雲仙温泉。その中心に、レトロな雰囲気を残す老舗「富貴屋」が建つ。
海辺から森の中を上ること20分。秀吉の時代、キリシタン殉教の地ともなった雲仙に着きます。噴煙たなびき、硫黄の香り漂う雲仙地獄を中心に、十数軒の温泉宿が散在。そのほぼ中央の景勝地に、老舗「富貴屋」があります。
06年3月、富貴屋をはじめ、生い立ちの違う雲仙の4軒の旅館が、雲仙湯けむりリゾートという持ち株会社を設立。
日本で初めて、ホールディング制の旅館群として、相互で協力しあいながら、競合しない個性づくりを目指し始めました。そのリノベーションの第一弾が、富貴屋の改装。
富貴屋が目指したのは、「熟年女性にとって居心地のよい旅館」。大正時代から続く木造の別館は、雰囲気はそのままにして客室に露天風呂を設けたり、これまでは団体客用だった食堂や宴会場は、大改装して、重厚でほの暗く、どことなくアジアの雰囲気も漂うロビーとダイニングレストランに改装したり、女性を意識した雰囲気にリノベートされました。
玄関を入ると、大きな窓越しに雲仙地獄の光景。ロビーに雲仙の「火」が点る暖炉。その奥には、ダイニング「懐火亭」があります。
確かに、お客様の7~8割が女性。キワ・マジックは、旅館の空気をダイニングレストランのものに変えてしまったのでしょう
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