【まとめ】時代は「脱日常」へ
このほかにも、「個室化・一人旅の増加」など、2004年の新たな傾向もありました。でも、共通して言えることは、旅の目的が大きく転換していること。
それは、第一に「人のための旅行」から「自分のための旅行」へのシフト。会社のため、組織のため、家族・親族のため、自分を犠牲にした「社会関係強化のための旅行」市場はどんどん縮小し、夫婦、友人、親子、といった「個人関係強化のための旅行」になったと思ったのも束の間、すでにもう自分自身の「ライフスタイル実現のための旅行」にシフトしてきているようです。スローライフ、セルフケア、ホンモノ追求、みんなそうではないでしょうか。
第二には、「物質的豊かさの追求」から「精神的豊かさの追求」へのシフト。経済キャッチアップ時代には「より豪華」な宿が求められました。
今でも日本人の多くはまだこちらの軸に残っています。「自分にごほうび」という「言い訳消費」や、「山でまぐろ?、量より質」なんて言いながら、実際には「刺身の舟盛り、天ぷら、肉もの」とフルコース出ないと苦情になる現象などは、まだ「上」を望んでいる日本人も多いことを表しています。
それでも、「モノより思い出」、「脱日常」と、物質的豊かさの階段を逆に折り返し始めた傾向を感じます。秘湯ブーム、スローフード、あるいは、子供や友人との思い出作りなど、ハードよりソフトに目的がシフトしてきているように思えます。
日本の宿の市場変化が起きている。左上から右下へ。 |
左上の「たまには豪華に」層が減り、左下の「自分にご褒美」層が増えました。あるいは、右上の「モノより思い出」層に流れました。
しかし、今、右下の「スローライフ」層がどんどん増えているのです。
ところが、多くの宿が、左上にその機能を残したまま。市場変化に気付きません。これでは、日本の宿は衰退の一途です。
おそらく、2005年は、このシフトに気付き、大型旅館にしても、様々な宿が新たな「再生」の道のりを歩み始める元年になることと思います。
具体的にそれは何かって?
それは、2005年のお楽しみ。注目は、鬼怒川や湯布院かな・・・。