旅心がざわざわすると、どうも船に乗りたくなります。
それもできるだけ陸地から離れた小さな島がよろしい。
それも一泊二日で楽しめるところ。
ということで、伊勢湾に浮かぶ「神島」「菅島」「答志島」に行ってきました。あたり障りのない観光旅行に飽きたら、こんな旅もいいかもしれません。
近鉄鳥羽駅から徒歩5分。
鳥羽佐田浜港から、小さな市営定期船(地元では巡航船とか郵便と呼ぶ)に乗り、40分。神島は、潮の流れにもまれた絶海の孤島。
三島由紀夫「潮騒」の舞台ともなり、小説では「歌島」と呼ばれ、吉永小百合や山口百恵主演で映画化もされました。
「その火を飛び越して来い。その火を飛び越してきたら」(潮騒より)
映画のクライマックスシーンの舞台となったのは、港から徒歩30分の「監的哨」跡。日本陸軍がはるか対岸の伊良湖岬から発射した試射弾の着弾点を観察するために設けたコンクリート造りの哨舎で、今では廃墟となっています。そこからの海の景色といったら、絶景と言わず何と言えましょう!
神島は、ゆっくり歩いて、港から約90分で一周可能。
途中、三島由紀夫が滞在した寺田さん宅、正月には奇祭「ゲーター祭」が行われる八代神社を経て、多くの猫が住みつく神島灯台まで登ります。
灯台から、監的哨跡を経てカルスト地形のニワの浜、そして静かな古里の浜まで下りてきたらほぼ一周。一人で歩くには少し寂しいかもしれませんが、仲間でのんびり歩くにはお似合いの素朴な島です。
わずか40分の船旅で、ここまで別世界に浸れるとは、日本も捨てたものではありません。