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夜に口笛を吹いてはいけない(2ページ目)

しきたりとは、以前からずっと行われていた慣わしや慣習のこと。正しい作法、意味や由来を知っておきたいものです。

中山 みゆき

執筆者:中山 みゆき

冠婚葬祭ガイド

魔物
シーンと静まり返った闇の世界では、妖怪や魔物たちがさまよっています。

夜は魔界の時間帯


■夜に口笛を吹いてはいけない

なぜいけないのか、よく言われているのは「ヘビがでてくる」。でも実際はそんなの出るわけありません。昔の夜の時間帯は、今と違ってシーンと静まり返った闇の世界。

そんな夜に口笛を吹いたり、また騒いだりしないようにと、人間が怖がり不吉とされるもの「へび」をつか使って、戒めているのです。住む地域によっては「鬼が出る」、「泥棒に入られる(仲間への合図が口笛)」と言われている場合もあります。

また夜は妖怪や魔物たちの活動する時間帯。霊的な世界が存在するとされていたので、昔の人は夜に外出することはタブーでした。24時間営業のコンビ二やディスカウントショップなど、昼夜の区別を失いつつある現代では、もうこの戒めは、はっきり言って通用しませんが。


■夜に爪を切ってはいけない

夜に爪を切ったら、親の死に目にあえないと小さい頃に親から注意されたことがありますか?これも「夜に口笛をふいてはいけない」と同じく夜の時間に対する戒め。魔よけとして刃物を持つことはよいのですが、それを妖怪や魔物たちの活動する夜の時間帯に自分に向けるという行為は、悪霊が寄り付いてしまうと恐れられていました。

また今とは違い薄明かりの夜に爪を切ると怪我をするという戒めでもあったのです。現代はもちろん明るすぎる夜ですし、忙しい毎日を過ごす生活の中で、時間に追われるものとして、爪を切るのは夜しかない状態。ガイドは気にせず、爪は夜切っています。ちなみに両親共に健在ですが、ひょっとして親の死に目にあえなくなる?


■新しい靴(履物)を夜に下ろしてはいけない

新しい服、そして靴を新調してそれを身につける。気分新たに身が引き締まります。しかし新しい靴にも夜に下ろすのは縁起が悪いというタブーがあります。妖怪や魔物たちの活動する夜は、真っ暗闇の世界。そんな中へ新調した靴(履物)が必要な場所や旅に出かけるのは危険という戒め。夜はおとなしく家にいなさいということです。

履き慣れない新しい靴だと転びやすくて怪我をすると大変。だから夜、暗くなってから新しい靴をおろさない。どうしてもと言うならば、「新しい靴を履く時は古い履物の裏をすりつける」とも言われています。

ガイドの知人からは、油性ペンで靴の裏に印を付けると聞きました。いずれも汚して、新品でなくすのですよね。古い靴から運気をもらうというおまじない。

※靴を家の中で履いて、そのまま土間に下りて外に出てはいけない

お葬式の時、亡くなった人の棺を抱える人は靴(履物)を履いたまま家に上がり、棺を抱えてそのまま家の外に出て行きます。また玄関からではなく、縁側から靴を履いたまま、入ったり出たりするというお葬式の作法からきています。


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