初節句のお祝い ー男の子は端午の節句/女の子は桃の節句ー
知っておきたい初節句の基礎知識やマナー
初節句(初節供)は、子どもが生まれて初めて迎える節句のことで、女の子は、桃の節句(3月3日)、男の子は、端午の節句(5月5日)のことをいいます。初節句では、女の子には雛人形、男の子には武者人形などが贈られどちらも盛大なお祝いをします。また、英語では「Baby's first annual festival」といいます。
桃の節句と端午の節句は、江戸時代に定められた五つの節供(五節句)のうちの二つです。この五節句は、1年を24等分し、約15日ごとの節気にわけた「二十四節気(にじゅうしせっき)」を補うものとして定められたものの一つです。
■五節句
1月7日:人日の節句(じんじつのせっく)
3月3日:上巳の節句(じょうしのせっく)
5月5日:端午の節句(たんごのせっく)
7月7日:七夕の節句(しちせきのせっく)
9月9日:重陽の節句(ちょうようのせっく)
▼目次…初節句に関しての疑問を解決!
初節句とは? 初節句はいつ? 生まれてすぐでもするの?
初節句はその名の通り、子どもが生まれて初めて迎える節句のことです。お宮参りのように生まれてから決まった日(男の子は31日目、女の子は32日目)に行うようなことはありません。つまり生まれてきた時期で月齢の差が出ます。例えば12月に生まれた女の子は3ヵ月前後で初節句を迎え、4月に生まれた場合は1年先になるわけです。ただし、生まれてすぐなどの場合(生後1ヶ月以内)、お祝いは翌年でも構いません。また、各ご家庭での判断にもよりますが、生まれて数ヶ月の場合(1月生まれ)は翌年にされる場合も多いようです。つまり女の子の場合で1月生まれや男の子であれば3月ぐらいに生まれた場合などです。
男の子の節句「端午の節句」のお祝いの仕方と料理
鯉は出世魚とされ、子どもの立身出世の象徴です。
「こどもの日」と言われている端午の節句は、男の子のすこやかな成長と立身出世を願う行事です。 古代中国では、5月は物忌みの月とされ、邪気や悪霊を祓うために菖蒲湯(しょうぶゆ)に入ったり、菖蒲酒を飲んだりする習慣があったそうです。
この風習が、日本では平安時代に取り入れられ、宮中から鎌倉の武家社会へと広がります。武士は菖蒲を「尚武=武芸を尊ぶ」とかけ、盛んに端午の節句を祝うようになりました。
端午の節句では鎧兜、武者人形、鯉のぼりを飾ります。 最近では、兜飾りが主流のようです。家具の上に置けるコンパクトなサイズの飾りもあり、置く場所の雰囲気に合わせて選ぶといいでしょう。一般的には、春のお彼岸があけた頃から飾り始め、5月5日が過ぎたらあまり遅くならないうちにしまいます。
ひな祭りと違い、端午の節句には、伝統的に決まったお祝い料理がありません。ただ、中国伝来の「ちまき」や「柏餅」を食べるのが縁起がよいと言われています。
▼参考情報
こどもの日/端午の節句 ー鯉のぼり・鎧や兜・五月人形の意味・由来ー
女の子の節句「ひな祭り」の飾りやお祝い料理の基本
3月3日の「雛祭り」「桃の節句」は、女の子の健やかな成長を願い、ひな人形を飾り、両家の祖父母や親せきなど身近な人を招いてお祝いするのが一般的です。ひな飾りは、正月の七草が過ぎたら飾ってもよいと言われています。一般的には立春(2月4日)ごろから1週間前ぐらいに飾る人が多いようです。あわててお節句前夜に飾るのは「一夜飾り」といって縁起が悪いとされるので避けましょう。しまう時期は、3月3日を過ぎたら早めに。
ひな祭りで欠かせないのが「菱餅」です。そのルーツは、古代中国の上巳節で食べていた母子草のお餅。それが日本でよもぎ餅となり、江戸時代に菱を入れた白い餅、明治時代にくちなしを入れた赤い餅が加わって、現在の三色となりました。
また、ひな祭りの縁起物の食材といえば「はまぐり」です。はまぐりなどの二枚貝は、対の貝殻しか合わないことから、一夫一妻の願いを込めてお祝いの膳にお吸い物として添えられます。 家庭でのお祝い料理では「ちらし寿司」が定番。具の「えび」は長生き、「はす」は見通しのよい人生、「豆」は健康でまめに働けるという意味があるそうです。
「桃の節句」はなぜ「ひな祭り」という? その由来や歴史
ひな祭りの起源は、300年頃の古代中国で起こった「上巳節(じょうしのせつ)」といわれています。「上巳」とは3月上旬の「巳の日」という意味で、季節の変わり目は災いをもたらす邪気が入りやすいと考えられていたため、この日に水辺で穢れを祓う習慣がありました。この上巳節が遣唐使によって日本に伝えられ、「上巳の節句」として平安時代に宮中行事として取り入れられ、今でも一部地域でみられる、川に人形を流す「流し雛」が始まったとされます。
また、同時期に宮中や貴族の子女の間では、「雛遊び」といわれる紙の人形を使った遊びが盛んになります。この遊びが上巳の節句と結びつき、人の厄を受ける男女一対の紙製立雛が誕生したとされます。その後、江戸幕府によって「上巳の節句」が五節句のひとつに定められました。
また、人形作りの技術が発展し高級化してくるにつれ、人形は流すものから飾るものへと変化。内裏雛を雛壇に飾る「ひな人形」が流行しました。こうして、女の子の幸せを願って「ひな人形」を飾るようになり、「ひな祭り」としてお祝いをするようになりました。
初節句のお祝い(食事会)に招待する時のマナーとお返し
初節句のお祝いにちらし寿司や白酒など
昔は親類などが集まってお祝いしましたが、現代では両親、祖父母、あかちゃんでお祝いや食事会をすることが一般的です。親しくしている親族以外でお招きしなくても失礼にはあたりません。
お祝いを頂いた方を招いて食事会やおもてなしをしますが、これがお祝いに対するお礼となります。女の子の桃の節句なら、ちらし寿司やはまぐりの吸い物、白酒。男の子の端午の節句ならちまきに柏餅などの料理が一般的です。
本来、お返しは不要ですが、招待できない場合はお祝いのお返しとして「内祝い」をおくります。紅白のお砂糖やかつお節などが定番。ただし、初節句の報告を兼ねたお礼の手紙をだす心遣いも必要かと思います。その際には、節句の飾りと一緒に写った子供の写真など添えるといいでしょう。
▼内祝いの「のし」の書き方
- 【表書き】「内祝」または「初節句内祝」と書きます。
- 【水引】紅白の蝶結びが基本です。
- 【名前書き】お子様の名前のみで名字は記載しません。
初節句のお祝い金を贈る場合の金額相場やマナー
初節句のお祝いの相場金額は、親族、仲人は10000~20000円ぐらい、友人は5000円~10000円ぐらいが目安とされています。祝儀袋の水引は紅白の蝶結び、表書きは「初節句御祝」「御祝」または、「御初雛御祝」「御初幟御祝」とします。お祝いに手土産を持参する場合、桃の節句や端午の節句にちなんだお菓子「ひなあられ」「柏餅」などがおすすめです。最近では、フォトスタンドなども人気があるようです。
▼ご祝儀袋の書き方
- 【表書き】「御祝」または「初節句御祝」と書きます。「御初雛御祝」(女の子)「御初幟御祝」(男の子)でも大丈夫です。
- 【水引】赤白(5本か7本)、花結び(蝶結び)または鮑結びを用いるのが基本です。
- 【のし紙】結びは花結び(蝶結び)、水引は赤金(5本か7本)を用いるのが基本です。また、兜の絵が入った掛け紙も市販されています。
- 【贈る時期】節句日の半月前より当日までに。飾り物を贈る時は1ヶ月前までに贈ります。
初節句の飾りは母方の実家から贈るもの?
初節句での雛人形、兜飾りや武者人形などの飾りは、母方の実家から贈るというならわしがありました。現代では飾り物も高価になり、母方だけでは金銭的にも負担が大きくなり全てをまかなうのは難しくなっています。最近では両家が話し合ってそれぞれ分担する場合が多くなっています。たとえば鎧(よろい)兜(かぶと)は父方、こいのぼりは母方、雛人形は両親が選び現金を両家で折半するなど色々考えられます。両家で話し合って決めれば、特に母方にこだわることもありません。経済状態や住宅事情など考えて適当なものを購入しますが、実際に贈ってみたら住宅事情などで飾る場所がないなんてこともありますので、事前の相談は必要かと思います。
特に最近の飾りはガラスケースに入ったものやサイドボードに置けるものなど住宅事情を考えたものも多くなっています。また、場合によっては品物より現金や商品券を贈るほうがよいことも考えられます。
▼参考までに
・長男の息子の場合に限り父方の実家が贈るケースも多いようです。
・雛人形や鎧兜のほかにも人形を贈る習慣もあります。
・親戚や仲人からお祝いとして飾りを贈る場合もあります。
・桃の節句では「博多人形」「市松人形」など。
・端午の節句では「金太郎人形」「桃太郎人形」など。
雛人形や鎧兜はいつ贈る?時期や仲人として祝う時
初節句の飾りに雛人形や鎧兜を贈りましょう
初節句の数週間前から人形などの飾り付けをしますので贈る時期も考えます。特に雛人形は3月3日の節句がすぎるとすぐに片付けるのが一般的。2~3週間前には届けるようにしましょう。また、地方によっては4月3日にひな祭りを行う地域もあります。
仲人として初節句をお祝いする場合、お祝いの品は、お人形や節句飾りが喜ばれますが、そういう品は身内がすでに贈られている場合も多いはず。その場合は少し目先を変えておもちゃやぬいぐるみなどが無難です。
また、仲人の場合、初節句のお祝い金の相場は、だいたい5千円から1万円ぐらいが目安。内々のお祝いなので頼まれ仲人のような一時的なおつきあいの場合はお祝いしなくても失礼にはなりません。
次男・三男、次女・三女の初節句はどうする?
次男・三男、次女・三女の初節句の時も長男・長女の時のように盛大にお祝いします。女の子の場合、雛人形を増やしていくとよいという説もあるようなので揃っていない人形や飾りを贈ってもいいでしょう。また、内裏雛をお嫁に行く時にもっていく習慣や、地方によっては、次女から市松人形を贈る習慣もあります。
男の子の場合、兜や武者人形などまだ揃っていないものを贈ることもあります。五月人形の場合は雛人形のように増やさないのが普通です。
いずれの場合でも地方などにより習慣も違うようなのでお近くの人形店などでご相談ください。また、必ずしも節句飾りにこだわる事はありません。子供の成長を願う気持ちであれば何でもかまいません。両親の希望のものを贈ったり、現金でもいいでしょう。
初節句で神社にお参り時のマナーや玉串料(初穂料)の金額相場
初節句は実家や両親だけでお祝いすることで充分ですが、最近では神社に祈願、祝詞をあげていただくことも多くなっています。神社によっては料金がきまっている場合がありますので事前に調べておきましょう。だいたい3千円から5千円ぐらいが相場金額です。▼玉串料・初穂料の「のし」の書き方
- 【表書き】「玉串料」または「初穂料」と書きます。
- 【水引】赤白(5本か7本)、花結び(蝶結び)または鮑結びを用いるのが基本です。
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