小動物/ペットから感染する病気

これでSARSが防げたのか? ハクビシン大虐殺(2ページ目)

大げさだと思われる方がほとんどでしょうが、あえて「大虐殺」とさせて頂きました。中国政府がSARS対策として行ったハクビシンの処分です。

執筆者:村田 亜衣

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▼疑わしきは殺せ?
先月、中国でSARS感染の疑いのある人が見つかりました。
そして、この人は今月SARS感染者と確定されました。
今回も感染源は不明なままなのですが、中国は昨年の経済的ダメージを考えてか、思いもしなかった行動に出ました。
ハクビシン大虐殺です。

野生動物を食べる習慣の残っている中国では、ハクビシンは食用に捕獲・売買されておりました。
昨年ハクビシンが感染源ではなかったことを聞いているにも関わらず、今回のSARS感染者のSARSウィルスがハクビシンのコロナウィルスによく似ているため(100%同じではない)にハクビシンを感染源と決め付けたようです。
そして、市場に出回っているハクビシン約1万匹を殺処分したのです。

BSEに感染した牛やトリインフルエンザに感染したニワトリ等、感染源になる可能性を持つ食用、及び卵等食用品を産ませるために飼育している家畜を殺処分することはあります。
でもこれは、人間に感染することが確認されている感染症を持つ場合であり、 疑わしいだけで殺すことはありません。
これは日本だけでなく、世界的に同じだと思います。

しかし、中国は疑いだけでハクビシンを殺しました。
それも安楽死とはほど遠い、消毒液におぼれさせ、溺死後に焼却処分という方法で。

ハクビシンの大虐殺については、中国政府が発表した段階で世界保健機構(WHO)が「感染源はまだ特定されていない。ハクビシンについてもさらに調査する必要がある」と指摘し、処分は時期尚早だと批判しました。
中国国内の動物愛護団体からは「もともとはハクビシンを食べる人間の習慣に問題がある」と処分に反対の意見も出ました。
しかし、中国はハクビシンを殺し、今度はハクビシンを隠し持っていた者に1匹につき最高10万元(約130万円)の罰金を科すことを決めるなど、ハクビシンをSARS感染源としてさらに追い詰めて行こうとしています。

*昨年中国が受けた経済的ダメージについては、以下のリンクを参照ください。
  • 中国経済のリスク
  • 新型肺炎SARSと政治の動き
    ▼中国のあやまち
    ハクビシンがSARS感染源だと今後判明すれば、中国のとった処置は適切だったと言えるかもしれません。
    しかし、現段階では誤りでしかなく、物事を冷静に見、判断できないことを証明したわけですから、世界的に評価を落とすものでしょう。
    そして、多くの動物愛護団体、動物好きな人から嫌われる原因を作りました。

    私たち日本人はハクビシンを食べる習慣がありません。
    それゆえに、強く「なぜ食べないようにしないのか?」と思えてしまいます。

    もともとハクビシンは臆病な野生動物。
    人と出会っても逃げることが多い、接触する機会も多くはない動物です。
    100歩譲って感染源だとしても、捕獲しなければ感染する可能性も無いのではないでしょうか?

    この先、SARSの感染源が明確になったときに ハクビシンが感染源ではなかったと判明したら、中国政府はどうするのでしょう?
    大虐殺の結果は、謝ったくらいでは許されません。
    今後、動物愛護精神の無い国として厳しく世界からバッシングされていくのです。

    今回のハクビシン大虐殺で考えの浅い、短絡的な国と全世界に知らせた中国。
    この愚かな対応で経済的ダメージは防げるのでしょうか?

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