ホームシアター/ホームシアターの設置、調整

薄型テレビの映像調整方法(初級編)

配達したてのテレビは、温度調整をしていないエアコンのようなもの。設置した部屋に応じて画質設定や映像調整を行わないと、その能力を発揮できないのです。今回は映像調整の必要性と、お手持ちのテレビの画質力を100%引き出す、映像調整方法をご紹介します。 

鴻池 賢三

執筆者:鴻池 賢三

オーディオ・ビジュアルガイド

画質の調整は、エアコンの温度設定と同じ!?

エアコンは、温度設定を行ってこそ快適。undefined映像も調整が必要。

エアコンは、温度設定を行ってこそ快適。 映像も調整が必要。

テレビ映像の見え方は、周囲の明るさや色味の影響を大きく受けます。

日が差しこむ明るい部屋、電球による暖色で薄暗い部屋、蛍光灯による青白く照らされた部屋など、設置する部屋の照明環境に応じた「映像の調節」が重要なのです。

分かり易く例えると、「エアコンの温度設定」に似ていると言えるでしょう。エアコンを設置した際、好みに応じた温度設定を行ってこそ、本来の目的である「快適さ」が得られる為です。 

よりよい画質を得るには、無闇に高価なテレビを選ぶ事よりも、適正な調整こそが重要である事をご理解いただけるでしょう。 まずは、お手持ちのテレビで最高の画質を発揮させてみましょう!


まずは、映像モードを使いこなそう!

予め設定された映像モードを選ぶだけでも画質は向上する。

予め設定された映像モードを選ぶだけでも画質は向上する。

大手メーカーのテレビには必ず、「映像モード」、「画質設定」や「AVポジション」といった、画質(明るさや色味の組み合わせ)選択機能が備わっていて、予め設定されたいくつかの画質から、簡易的に選択が可能です。 

選択できる画質の種類や呼称は、メーカーによって様々ですが、おおよそ共通して、標準(スタンダード)、ダイナミック、映画(シネマ)などが用意されています。各「モード」の特徴と選び方は概ね以下の通りです。

■標準モード
低消費電力を主眼に置いた設定となっているケースが多く、映像が暗めに感じる傾向にあります。 おおよそ、日常生活レベルの照明を利用しているリビングに適しています。 

■ダイナミックモード
非常に明るい店頭で見栄えするよう、明るくメリハリをつけ、色も鮮やかに誇張しているケースが多くみられます。 画質面では優れていると言えず、家庭では明るすぎたり、目の疲れが心配ですので、あまりお薦めしませんが、日中の明るいリビングで、画面が不鮮明に感じるときに利用すると良いでしょう。

■映画モード
画質を重視するならこのモードが最適です。 ホームシアターで映画の画質を引き出すには非常に重要なので、次に別項目として詳しく解説します。


「映画モード」を選択する理由

「映画モード」は、黄ばんで暗く、何か「作り物」な感じ……という印象を持つ方が多いようですが、これは誤解です。メーカーにもよりますが、一般的に、「映画モード」こそが、最も素直で、制作者の意図を忠実に再現する、「高画質」なモードなのです。

元来、映画やハイビジョン放送の色温度(白やグレーなど無彩色の色味)は、6500K(ケルビン)に設定されています。6500Kは、晴天時の正午の太陽光や昼白色の蛍光灯に近い色味で、工業界では標準の「白」とされ、テレビの映像も6500Kに設定するのが理想的です。「映画モード」では、どのメーカーも、大抵は6500Kを目標に設定しています。

ところが日本の家庭では、この6500Kの映像が、黄ばんで感じられる事が多いようです。その理由としてはまず、人間の目と脳は、色順応という機能を持ち、「白」と思う部分を「白」に感じようとする性質を持っている事が挙げられます。

日本の家庭では、蛍光灯も壁紙も、清涼感のある青みを帯びた「白」が好まれる傾向があり、色順応でその青白を「白」と感じると、標準の6500Kに設定した映像が、相対的に黄ばんで感じられるという訳です。 

また一般的に「映画モード」では、過度なメリハリ、精細感、色の誇張を行わずに、制作者の意図した映像を忠実に再現しようとする傾向があります。このような映像は、一見ボンヤリとして、不鮮明に見えがちですが、実は滑らかで奥行き感のある「よい画質」なのです。因みに「よい画質」は、長時間の視聴でも疲れにくいのも利点です。


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