メディアに拠って、作り出されたイメージ
鋭い歯と力強いアゴは、獲物の肉を食いちぎるのに役立つ。 |
書籍やテレビなどで、『アマゾン川の人喰い魚』と紹介されることも多いので、一度は目にしたことがあるのではと思います。
しかし、メディアからの情報は、少し大げさなものが多いよう感じます。
例えば。
川を渡った牛が襲われ、瞬く間に白骨化した。
水遊びをしている子供たちが襲われた。
また、ピラニアに襲われた時にできた傷跡として、映像を目にすることもあります。
ウソかホントか。その様なおどろおどろしい話が、まことしやかに語られています。
川にそんな魚が棲んでいたら、水辺に近づくのは命がけです。アマゾン川って、怖いところですね…
しかし、その反面。テレビでアマゾン川の映像が流れると、川で泳いでいる人たちの姿を良く見かけます。そこには、ピラニアは生息していないのでしょうか?
いえいえ。ピラニアには、とても多くの種類がいて、広い範囲に分布しています。アマゾン川流域において、一般的な魚です。
では、なぜ。ピラニアがいるかも知れない川で、平気で泳いだりすることができるのでしょうか?
実は、とても臆病な性格
凶暴な面構えとは裏腹に、実際の性格はオドオドしている。 |
確かにピラニアには、力強いあごで獲物の肉を食いちぎります。群れで行動し、自分よりも大きな獲物を狩ることも実際にあります。しかし、小魚などは別とし、自分よりも大きな生物を襲う際は、相手が弱っている限りまずありません。
空腹時や血の臭いをかいだ時には、性格が荒くなることもあるようですが。それでも、神経質で大人しい魚であることは否めません。
実際にアマゾン川でのピラニアによる事故のほとんどが、釣り上げた際に誤ってかまれてしまった。などの、不注意によるものがほとんどで、川を泳いでいて襲われたといった話は、まず聞いたことがありません。
その面構えと食性から、非常に凶暴なイメージを我々は持ってしまいますが。実際は物陰に隠れている臆病な性格な魚。といったところが、ピラニアの本当の姿です。
水槽での行動を観察してみても、物陰に隠れてることがほとんどです。また、少しの物音や振動、人影などに反応して、パニック状態になることも珍しくありません。一度、機会があれば水族館などで観察してみると良いでしょう。見た目こそ強面ですが、常にビクビクして、イメージとはかけ離れたピラニアを観察できると思います。
ただし、飼育中の事故も良く聞く話で。ちょっとした油断から、指の肉を食いちぎられてしまった、という話もたまに耳にします。積極的に襲い掛かる魚ではないにしろ、危険な魚であることは間違いありません。
もし身近で観察する機会があっても、不用意な行動は慎んでくださいね。