動物へのマイクロチップの挿入は医療行為であるため、獣医師が行います。
では、獣医師 ・動物病院はマイクロチップに関してどのように考えているのでしょうか?
昨年12月、検索で取得することができた1,500の動物病院にアンケートメールを送信しました。
442通はリターンメールとなり、送信可能だった1,058の動物病院のうち、回答をくださったのは86件でした。
この回答率の悪さとして想像できることは
- メールアドレスは持っているが日常的に利用していない
- アンケートに答えている暇がない
- マイクロチップに無関心
…等々が考えられます。
回答率の低さが、もし現場の獣医師がマイクロチップに対する意識の低さだったら、これからもっとマイクロチップを推進していこうと思っているガイドとしては非常に残念に思います。
しかし、回答率は悪かったですが、回答をくださった動物病院からは非常に興味深い答が届きました。
ご協力くださった動物病院の方々には、本当に感謝しています。
それぞれの現場の先生方の生の声を、2回に分けて掲載させていただきます。
回答数:86
送信メール数 |
回答数 |
北海道 |
47 |
1 |
青森県 |
10 |
1 |
岩手県 |
3 |
1 |
宮城県 |
22 |
2 |
秋田県 |
4 |
0 |
山形県 |
13 |
0 |
福島県 |
10 |
0 |
茨城県 |
37 |
1 |
栃木県 |
12 |
0 |
群馬県 |
14 |
1 |
埼玉県 |
61 |
6 |
千葉県 |
41 |
7 |
東京都 |
158 |
15 |
神奈川県 |
103 |
12 |
新潟県 |
14 |
2 |
富山県 |
8 |
0 |
石川県 |
10 |
1 |
福井県 |
7 |
1 |
山梨県 |
8 |
0 |
長野県 |
15 |
2 |
岐阜県 |
7 |
3 |
静岡県 |
30 |
1 |
愛知県 |
40 |
2 |
三重県 |
11 |
3 |
滋賀県 |
10 |
1 |
京都府 |
29 |
2 |
大阪府 |
83 |
4 |
兵庫県 |
52 |
5 |
奈良県 |
12 |
2 |
和歌山県 |
7 |
0 |
鳥取県 |
3 |
0 |
島根県 |
2 |
0 |
岡山県 |
20 |
2 |
広島県 |
23 |
1 |
山口県 |
6 |
0 |
香川県 |
5 |
1 |
愛媛県 |
12 |
0 |
高知県 |
3 |
0 |
福岡県 |
40 |
3 |
佐賀県 |
1 |
0 |
長崎県 |
11 |
0 |
熊本県 |
18 |
2 |
大分県 |
10 |
0 |
宮崎県 |
8 |
0 |
鹿児島県 |
8 |
0 |
沖縄県 |
10 |
1 |
合計 |
1058 |
86 |
|
|
Q.貴動物病院ではマイクロチップの挿入が可能ですか? |
|
A.はい |
73 |
B.いいえ |
13 |
Q.可能な場合、それはどこの販売メーカーの製品ですか? |
|
A.大日本住友製薬(株)ライフチップ |
52 |
B.共立製薬(株)アイディール |
12 |
C.サージミヤワキ(株)AGEトロンID-162 |
2 |
D.共立商会(株)AVIDマイクロチップII |
9 |
Q.なぜそのメーカーの製品を選ばれたのですか? |
|
A.製品/性能がよいから |
19 |
B.安全性が高いから |
7 |
C.普及率が高いから |
28 |
D.値段が手頃だから |
6 |
E.その他 |
ライフチップ |
世界標準規格だから |
最初に使用したから |
日本国内のデーターベースへの登録料がはじめから価格に含まれており、登録作業が簡単だから |
ISO規格の問題と、皮膚温による管理目的 |
一番小さい/国際規格:動物の輸出・入で必要 |
情報管理がしっかりとしているため |
手続きが確実(獣医師が行う)なので |
ペットの輸出入検査を実施しているため、全世界的に普及しており、製品の良いものを選んだ。 |
当時先行していたから |
問屋がすぐに持ってこられる製品だから |
チップの選択によっては体温測定も可能だから |
獣医師会の決定/獣医師会普及製品の為---回答数 5 |
選択肢が無かった |
アイディール |
たまたま出入りの代理店が扱っていたから |
犬の場合獣医師会と連動しているため |
共立商会のは外国のマイクロチップも読めるから |
獣医師会支部で指定されたから |
一般的だから |
AVIDマイクロチップII |
(AIPO(動物ID普及推進会議)に登録可能なISO規格IDチップの中で、AVIDが最も性能が良い、と判断している。(体内で動きづらい点等)
それぞれについて、解説する。
A.製品/性能:これはおそらく、ライフチップが一番良いと思う。しかし、大日本製薬は独自に(=勝手に)登録システムを作ってしまい、AIPOに加盟しなかった。これは飼主や動物にとっての利便性を極めて低下させる(つまり、問合せ先をAIPO1つに絞れない)ものであり、到底賛同できるものではない。従って使用することを控えている。
B.安全性
C.普及率
D.値段
この辺は、どれもどっこいどっこいであろう。
むしろ、問題なのはISO規格であるかどうか。規格がISOでなければ、マイクロチップを埋め込んで海外へ一度転出し、帰国した際に検疫時の有利さが消えてしまう(機械で読み取り出来ない恐れがあるため)。この辺の詳しい話は農林省の動物検疫を参照して欲しい。 |
アメリカ製のISO規格で使いやすいシリンジタイプだから |
問屋がすぐに持ってこられる製品だから |
東京都獣医師会の推薦だから |
|
続いてマイクロチップの価格や、取り扱っていない病院の理由など→