獣医師が勧める猫と人の正しい関係
左:ボクスターくん、右:タルガくん |
岩田:
ズーノーシスとか神経質に気にされて、一緒に寝るのはやめた方が良い、とか云われる先生もいらっしゃいますが、先生は猫さんたちと一緒に寝ているわけですよね?
石田先生:
そうですか~今時(絶句)
岩田:
TVでも時々特集されていたりしますけど。
石田先生:
もちろん猫引っ掻き病とかQ熱とか実際に罹るものはありますけど、罹るのは幼児とか老人とか特に免疫が落ちている人なんですね。
猫引っ掻き病の病原体(バルトネラ菌)を持っているノラの子猫に噛まれたり引っ掻かれたりとか、Q熱の病原体(リケッチャ,細菌の一種)を持った猫が家の中で流産したとか。砂場をほじくって、手を洗わなければ回虫とか持ち帰る危険はある。でも食事の前に手を洗うでしょう?
猫は人間との長い歴史の中で、人間に対する安全性も確認され、さらに猫の獣医学や行動学も進歩して、われわれ獣医師が責任を持てる「コンオパニオン・アニマル:伴侶動物」としての地位を獲得した動物です(その他犬,ウサギ,馬など)。
自分の家でマナーを守ってきちんと飼っている猫は大丈夫ですよ。
衛生的にしっかり飼う事が大切です。
猫はちゃんと自分でグルーミングしますから、きれいな動物ですよ。
妊婦さんに猫を手放せ、なんて信じられないですね。
「妊娠したら猫のウンチは食べないでね。」
って、僕は云うの。
「もし食べるんだったら、新鮮なものをね。
24時間経ったものは食べないでね」って。(笑)
(注:トキソプラズマのオオシストは糞便中で24時間たたないと人間に感染可能になりません。でも猫の便を口にするのはやめましょう!)
今、都会で一番多い猫の病気は?
リプトンくんが、タルガくんの教育係でした photo by Dr.Ishida |
ガンだったら消化器系のリンパ腫
中年から高齢にかけて猫の習性(元来砂漠の動物)や食生活(タンパクを多く摂取)に関係して多くみられる慢性腎不全、生活習慣病の一種(肥満、ストレス、運動不足、カロリー過剰)の糖尿病が多く、また肝臓の病気も比較的多くみられます。
10歳過ぎたら、甲状腺機能亢進症も多い。
アメリカでは猫の病気としては一番多い。赤坂動物病院で10歳以上を手当たり次第検査してみたら、1割くらいそうだった。
これは、甲状腺ホルモン検査という特殊な検査をすればわかります。
スリムである(痩せているというよりひいき目にみてしまう)、よく食べる(食べることは飼い主の喜び)、よくおしっこをする(おしっこが出るのはよいことと思ってしまう)、高齢なのに異常に元気で活発(ますます健康を確信する)というように、病気には見えないのです。8~9歳くらいからは、是非定期的に検査を受けてみてください。