記事:前ガイド戸松 佐恵美 |
春分の日も過ぎ、今年は例年より桜の開花も早くも満開と聞いています。
暖かく、お出かけするにもいい季節になって来ました。
ところが、このさわやかな季節に気が重くなる人たちもいるのです。
それは、猫の保護活動をされている方々です。
猫は通常春と秋に盛りがつきます。
人間の勝手で捨てられ、野良猫となった猫たちが本能にまかせて恋をし、春は三ヶ月後にはまた小さな命を生み出してしまう季節でもあります。
野良猫を保護しようとする人たちと、野良猫が増えるだけだから保護なんかして欲しくない人たちの間には絶えず諍いが起き、また、飼い猫であっても外に出している猫がいたずらなどをする事によって、人と人との間に問題が起きているのもまた事実です。
猫には罪はありません。
では、どうしたら猫とヒトとが豊かに共存して行けるのでしょうか。
以下私見ではありますが、問題点とその解決方法を述べたいと思います。
■飼い猫を外に出す時のモラルについて |
私は自分の猫の命を守りたい事と、近隣に迷惑をかけるのは飼い主として間違っていると思うので、うちの猫たちを外には出していません。こう言うと「それは人間のエゴだ。閉じこめて飼うなんて猫が可哀想」と感傷的な意見を言う人がいますが、猫を"ペット"として飼う事それ自体が既にエゴなのです。「自由にしてやらなきゃ可哀想」なら「飼わない」のが一番です。
確かに自由を奪うのは可哀想かもしれません。けれど、室内だけで飼育する事によって、交通事故やら伝染病の感染やら心ない人による虐待やら猫獲りから命を守ってやる事が出来ます。外に出したが故に自由を奪う所か命を奪われる事になる可能性がある、という事です。
しかしながら、日本では古くから「猫は外に出して飼うもの」という風習があり、土地によっては外に出してもさほど危険性もない為出してやりたい、とか、一戸建てで年中窓やドアが開いているので室内飼いにするのは無理、という方もいるでしょう。
その場合、近隣と人とどうやって諍いを起こさない様にしたらよいのでしょうか。
時々、私の所に「うちの猫を前々から嫌っていた向かいのおじいさんが毒饅頭を作ってうちの子に食べさせた。殺されてしまったので、訴えたい」という様な相談のメールを頂きます。
また、数年前には前足が切り落とされた猫が大量に見つかり、犯人を捕まえたら庭を荒らされて耐えきれなくなった老人だった事がわかってニュースになりました。
ここまでこじれるケースは希だとは思いますが、世の中には猫が嫌いな人もいますし、猫よりも自分の家の庭や車の方が大事な人もいます。庭を荒らしたり、用足しして臭いを残したり、磨いた車に足跡をつけていく猫は、そういう人にとってみたらただの「迷惑な動物」でしかありません。