雷恐怖症って、何?
グリーンウッド・アツコさんの愛犬達。向かって左より、Mercury君、Mistyちゃん、Venusちゃん。 |
グリーンウッド・アツコさん:
犬の場合の雷恐怖症とは、雷発生時、もしくは発生以前から、犬が見せる心理的・生理的に異常なまでの恐怖反応(パニック)を示すフォビアを言います。主な反応としては、息づかいが荒くなる・よだれを大量にたらす・体の震えが止まらない・家中をウロウロして落ちつかない・お風呂場(水辺)に逃げ込む・お漏らしをする・嘔吐する・水や食べ物を一切受けつけない・逃走・破壊行動、などが挙げられます。
ガイド:
程度にもよるのでしょうが、私の愛犬も周囲の物事が目や耳に入らないほどの様相を見せていました。
グリーンウッド・アツコさん:
そうですね。飼い主さんが食べ物やオモチャを使って気を紛らわせようとしても、反応できないほどのパニック状態になっていることが多いです。
ガイド:
そうなる原因としては、何が考えられるのでしょう?
グリーンウッド・アツコさん:
原因として考えられるのは“音”や“光”に対する恐怖のほかに、“気圧の変化”や、雷雲から発生する“静電気”に恐怖反応を示している場合が多くあり、お風呂場(流し台)に逃げ込む犬が多いのも、体内に溜まった静電気を放電しようとする行為と考えられます。また、雷雨による“オゾンの匂い”にも反応していると言われています。
恐怖体験が積み重ねられることで、克服が難しくなってくる
ガイド:明らかに個体差はあるでしょうが、雷恐怖症が発症する年齢的なものとか、何かしら条件のようなものはあるのでしょうか?
グリーンウッド・アツコさん:
発症年齢は2歳前後との報告が多く、性別、去勢・避妊の有無にはあまり関係がないようです。残念なことに、この雷恐怖症は、年齢とともに悪化する傾向にあります。これは「学習された反応」と言って、犬の恐怖の記憶は、その体験時に目に映った映像(イナズマの光)・音(激しい雨音・雲間放電のゴロゴロの音)・体に感じる不快感もしくは痛み(気圧の変化・静電気)・匂い(オゾン)などを瞬時に記憶し、その後、似たような刺激や環境に遭遇した時に、その恐怖体験がよみがえってくるため、雨や強い風、または空が曇ってきただけで恐怖反応を示すようになる犬も多くいます。恐怖の対象が徐々に広がっていってしまうのです。そして、この雷による恐怖体験を重ねていくうちに、「やっぱり、雷は怖いもの」と犬が確信してしまうところに、雷恐怖症の克服の難しさがあります。
ガイド:
確かに、治しにくいものであるということは、私自身も体感しています。これまでは、雷の音を録音したものを使って徐々に慣らしていく方法などが一般的には知られていましたが、これを治す、トレーニングするといった観点からはどうでしょうか?
次のページでは、雷恐怖症の矯正トレーニングについて、注意すべき点などについてお話頂きます。