ストレスには悪者ばかりじゃなく、いいヤツもいる
生後2ヶ月くらいまで母犬や兄弟達と育った子犬は、ストレス耐性が強いと言われる。 |
そういった意味では、「ストレスのない生活」といった表現は言葉的には間違い。正しくは、「ストレスの少ない生活」ということになるのでしょうね。
元来、私達生物の体は、何かしら刺激(いわゆるストレス)を受けた時に、自分自身の体を本来あるべき安定した状態に戻そうとする力が備わっていますが、それがホメオスタシス(恒常性)と呼ばれるものです。高等動物においては、神経系・免疫系・内分泌系が相互に作用しあってホメオスタシスが保たれています。
何がストレッサーになるかは、その個体次第
では、ストレスの元となるもの(=ストレッサー)には、どのようなものがあるのでしょうか? 不安や緊張、悲しみ、恐怖、対人(犬)関係など、精神的・心理的なものをまずは思い浮かべる人が多いことでしょう。病気や痛み、薬の影響といった生理的、または科学的なストレッサーもありますし、暑さや寒さ、騒音、居住場所が不衛生だったり落ち着けない、遊びや運動が不足で刺激が足りない、などの環境的なものがストレッサーになることもあります。何をストレスと感じるかということは、その個体の性格や生活環境などによっても大きく違ってきますので、何がストレッサーになるか?ということは簡単には語れないのが難しいところです。例えば、他の犬と遊ぶのが大好きなコにとってはドッグランに行くのは楽しいことでしょうが、他の犬が苦手なコにとっては楽しいどころか、ストレスになり得るということ。
愛犬に、少しでもストレスの少ない生活を送らせたいと思うのであれば、そのコの性格や環境などを観察し、それを把握することが大切です。場合によっては、飼い主の接し方や態度そのものがストレスの元になっていることもありますので、自分自身を見つめなおすということも必要です。愛情過多もストレッサーになり得ますので、お気をつけください(笑)。
ストレス耐性は育てることも可能
人間でも犬でも、ストレスに強い個体、弱い固体というのが存在します。犬の場合、社会化の重要性を訴える声は近年そこここで聞かれるようになりましたが、生後2ヶ月くらいまで母犬や兄弟達と過ごした子犬は、ストレス耐性が強いと言われています。早くに母犬から引き離されてしまった子犬は、ストレス閾値が低く、ストレスに対して弱い傾向にあるとされます。ということは、犬のストレスを考えるのであれば、子犬の時期の育て方や環境にも留意する必要があるということになります。
さて、ストレスが心身に悪い影響を与えるとしたら、どんなことがあり得るのでしょうか? 次のページに続きます。