『プレイズタッチ』が生まれたきっかけ
この生き生きとした表情も、山田さんのタッチから生まれるのかもしれない。 |
「T-タッチについてよく勉強なさっている飼い主さんも多いのですが、皆さんどうも難しく考え過ぎてしまう傾向があるようですね。その一方では、自分の子をとても愛しているのに、その気持ちを伝えきれていない、触れ合いの足りなさを感じる場面に出会うこともあります」(山田さん)
こうしたことが、やがて『プレイズタッチ』を生みました。
山田さんは仕事の一つとして「日本動物高度医療センター」でホリスティックケア、理学療法を担当し、日々重いケースの子達が多く来院する中で、自分の子を充分過ぎるほどに大切に思いながら、厳しい治療生活に行き詰まっている飼い主さんの姿を目にすることで、『プレイズタッチ』の有効性とその“心”をより多くの人に伝えたいと思うようになった、といいます。
日本古来のよさ“手当て”をもう一度思い出して
「そういったケースでは犬はもちろん、飼い主さん自身にも相当なストレスがあります。飼い主さんが不安を感じれば、犬も不安を感じる。そういう時にこそ、もっと触れ合うことが必要なのではないでしょうか。病気やケガは確かに辛いです。でも、例えどんな状況にあろうと、今目の前にいるその子の存在こそが素晴らしい。手で触れる、タッチを施すことで犬も落ち着き、飼い主さんも落ち着いて、しいてはもっと心を強く持てるようにもなるでしょう。病気があってもなくても、犬と向き合い、互いの存在を意識しながら、触れ合うその瞬間をシェアして頂きたい。それが、私がプレイズタッチに込めた願いです」(山田さん)日本語には“手当て”という言葉があります。例えばお腹が痛かった時、手を当てると少し治まったように感じることはありませんか? また、人に触れられることで、なんとなくホッとした気分になったこともあるでしょう。それが大好きな人の手だったら……。犬も同じはずです。
そんな素敵な言葉がありながら、実際に触れ合うのはちょっと苦手な私達日本人。山田さんはおっしゃいます。
「特別なことと考えなくていいんです。おじいちゃんおばあちゃんからお子さんまで、毎日気軽に行えるタッチとしてプレイズタッチを考案しました。“大好き!”“おはよう!”“おやすみ”という、それぞれたった3分程度でできるルーティンです。これらを習慣的に行うことで、段々と犬の気持ちもわかるようになっていき、信頼関係も深まることで、しつけにも役立つことでしょう。また、シニア犬にとってはそれ以上のものが得られます。低下した体の機能に刺激を与えて、それを向上させる。若い犬でも病気予防といった効果が期待できます。犬から癒しをもらうといったスタンスではなく、是非その“時”を共有してみてください。そして、そこからより豊かな犬との生活が生まれたなら、それほど嬉しいことはありません」
さぁ、お待たせしました。次のページでは、『プレイズタッチ』の実際のやり方を山田さんに伝授して頂きます! 今回は、「大好き!」のルーティンです。